先日、大学院の講座「社会起業活動」にて、NPO法人「しあわせなみだ」の代表 中野宏美さんを外部講師としてお招きし、お話を伺いました。

○「しあわせなみだ」とは
「しあわせなみだ」は性暴力をゼロにすることを目指して活動するNPO。中野さんは最初に就職した会社の同期の女性が家庭内暴力の被害にあい、そのことに気付いてあげられないまま、その女性が退社してしまったことへの後悔の念から、2009年に活動を開始。何とも独特のネーミングです。

性暴力の定義は定まっていないが、「しあわせなみだ」では『いや』と言えない性的接触と定義。レイプやわいせつ行為のみならず、セクハラやセクシャルマイノリティに対する差別や偏見も含むとされておりました。

その同期の女性とは今日まで音信不通、この活動についても、もちろん伝えていない。活動が実を結び、目的が達成されることを期待して待っていて欲しい、と感慨深げに語られました。

○活動内容
活動は多岐に渡りますが、以下が3つの柱。①性暴力に遭った方を応援する事業、②性暴力に遭った方を美容の力で輝かせる事業、③性暴力ゼロを実現するために、社会に働きかける事業。無理矢理に性交された女性の67.5%は誰にも相談しない(内閣府調査)。多くの方はひとりでインターネットで検索するが、表示されるサイトはほとんどがアダルト関連。必要な情報を迅速に入手し、支援団体と繋がることができるようにするため“リスティング広告(※1)”を開始。
※1:googleなどで検索したキーワードに関連した広告を検索結果ページで表示するサービス。

政治家へのロビー活動にも積極的に取り組み、一部の法令で被害対象として男性が認められるなどの成果をあげている。
他では例を見ないパートナーが性被害を経験した男性の会を組織。

障がい者の被害は健常者の被害よりも比率が圧倒的に高い、との事実を知らされました。3月に32名の障がい児を対象に実施した調査・インタビューでは実に23名が何らかの性暴力を経験したとの驚くべき結果に。この調査結果は自民党性暴力議連の議員さんらに報告され、今後の対応を相談中とのことでした。

最後に、直近起きたTOKIOメンバーの強制わいせつ疑惑、財務省事務次官のセクハラ疑惑に関して、中野さんは『“女性の方にも責任があるのでは”との声がいまだに聞かれるのは非常に残念。日本人の性暴力に関する理解はまだまだ進んでいない』と憤りをもって感じておられました。

私はそもそもその類のTV番組はほとんど見ないこともありますが、真実はひとつで最終的には本人たちにしか分からないことだと思いますが、中野さんにとっては、そのようなコメントが端から出され且つ報道されること自体が絶対に受け入れられないことでした。それくらい強い思いで活動されているという印象でした。

さまざまな活動をされている方と巡り合うことができ有意義でした。障がい者への性暴力に関する調査結果は非常にショックでしたが、弱そうに見えるなどもある程度明確な根拠は把握されているとのこと、今後の活動や政策面での対応に改善、そして根絶が期待されるところです。