12/11(火)、中家村自治会の生活支援組織「おたがいさまネット中家村」の研修会として、町社協のご協力の下、平塚市の先進事例「町内福祉村」を視察させていただきました。活動内容の充実ぶりや行政のサポート体制など、学ぶところが多い有意義な研修会となりました。

まず、「おたがいさまネット中家村」は、自治会内で日常生活にお困りの方を対象に生活支援やふれあいの活動を展開する組織であり、開成町内の自治会としては先駆的な事例です。
平塚市の「町内福祉村」は、市HPによれば”日々の生活の中で、ちょっとした手助けがほしい、あるいは手助けをしたいといった時に応えるための活動拠点”であり、”『身近な生活支援活動』と『ふれあい交流活動』が中心”、”行政が拠点の整備や活動費の援助、情報提供など住民が活動しやすい環境整備を行い、実践活動については、住民自身が共に支え合うしくみ”とされ、”市内25地区の公民館区に順次、設置予定”(今日時点で18地区で発足、活動中)とのことです。(詳しくはこちらから)

訪れたのは、横内地区の町内福祉村(愛称は「スマイル広場」)。平成26年2月に市内14番目の福祉村として設立。拠点は鉄筋2階建て、市が賃貸。地区の人口は県営横内団地50棟の住民を含め約8300人。

主な活動は、
①生活支援:ごみ出し70%、見守り25%。依頼件数 約60件/月。依頼者数 平均12名/月。リピーター多い。
②行事:祭り、ハイキング、ウォーキング、料理教室など。
③ふれあい交流:サロンの運営。囲碁、将棋。ダンス、体操。カラオケ。フラワーアレンジメント。国際交流。
④こども支援:宿題教室(毎週金曜日の放課後16:30まで。毎回約50名の小学生が参加。先生OBや塾講師が指導)。こども食堂。

・窓口業務として常駐するコーディネーター(11名で半日交代制)のみ有償。他はすべて無償のボランティア。
・利用料はいっさいなく、材料費等の実費以外はすべてただ。
・館内に小中学生の図工・美術の作品を展示し、”立ち寄るきっかけや訪れやすい雰囲気”を創出。
・多くの女性がおしゃべりしに毎日やってくる。
全体を通しての感想としては、生活支援の利用者数はまだ少ないものの、地域住民の交流の場としては非常に有用、特にシニア層のみならず、小中学生も集える仕掛けは多世代交流として意義深いとの印象です。学習支援を実施している福祉村は他にほとんどなく、子ども食堂の活動を含め、格差問題への取り組みとしても先進的です。

さて、どうしても気になる市からの補助金額ですが、市HPによれば、平成28年度の福祉村事業の予算額は約4000万円、うち6割が国・県からの補助(”生活支援体制整備、地域支援事業の充実”への補助金と考えられます)とのこと。市の負担は1600万円、単純平均で福祉村ひとつあたり約90万円となります。

平塚市の予算規模は一般会計810億円、全会計で1884億円(いずれも平成30年度当初予算)であり、開成町の10倍以上ではありますが、福祉村1ケ所あたりのコストは、開成町でも手の届かない額だとは思えません。ただ、平塚市の各地区の活動対象人口は約1万人であり、単純に開成町にあてはめると町で2ケ所となり、14自治会それぞれで平塚市並みの活動を展開するのは現実的に難しいでしょう。

2ケ所だとすると、自治会の枠を超えることから、相互の連携や協調がスムーズにいくか、活動拠点をどこに置くかなどが課題となりそうです。そもそも、現行の仕組みでは町や自治会による活動との重複も想定される中、無償のボランティアがどこまで集められるかも不安の残るところであります。

ただ、いずれにせよ、人口減少社会における地域包括ケアシステムの構築を目指す枠組みの中で、地域での助け合いや交流の重要性は増し、格差・貧困問題への取り組みも求められる中、この”福祉村”の果たす役割には学ぶことが多いのは確かだと思います。

横内スマイル広場の皆様、(ここではご紹介できませんでしたが、その後お邪魔した)豊田地区福祉村の皆様、貴重なお時間と丁寧なご説明・ご案内をいただき、ありがとうございました。大変良い勉強になりました。