ひょんなことから面白いものを見付けました。以前聞いた記憶はあったのですが、”開成町の女性の平均寿命が全国トップクラスで長く(市区町村別ランキング2005年 全国10位)、その要因の分析を行った研究がある”と。

一橋大学国際公共政策大学院の学生さんによる研究レポートでそれで、こちらのHPからご覧いただけます(「神奈川県開成町の高齢者介護福祉の現状に関する研究」)。

研究の概要:
◎2005年 市区町村別/男女別 平均寿命ランキング ~ 開成町女性は87.7歳、県内1位、全国10位。開成町男性は79.2歳、県内38位。

◎2003~2007年 市区町村別/男女別 標準化死亡比(※1)ランキング ~ 開成町女性は69.2、県内1位、全国3位。開成町男性は80.4、県内6位、全国8位。

◎2009年1月時点 第1号被保険者(※2)に占める要介護・要支援者の割合~開成町 10.43%(平均値 全国 15.94%、県 14.16%、県西二次医療圏 12.76%)

◎平均寿命や標準化死亡比が全国との比較において非常に良好な水準にあることの要因と考え得るのは、(1)人口増加率の高さが影響している可能性、(2)人口ひとりあたりの所得額の高さが影響している可能性、(3)コミュニティのつながりの強さ。

◎要支援・要介護認定者の割合が低いことの要因と考え得るのは、(1)全国比、高齢者世帯比率・高齢者単独世帯比率・高齢者夫妻世帯比率が低く、同居世帯比率が高いこと、(2)コミュニティのつながりの強さ。

コミュニティのつながりの強さがいずれにもその要因であると示唆された。地域の自治会活動が活発であることが、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かであるとみなされ、今回の検証結果となった。

開成町も遠くない将来直面する可能性がある人口減少局面において、そのソーシャルキャピタルの重要性が再認識されることとなろう。健康増進や防犯、災害対応、様々な協働作業など多くの面で効果があるとされる一方で、地域内でのつながりが強過ぎると、排他的となってしまうリスクもはらんでいるとされる。いずれにせよ、その醸成には時間を要することからを今からそれを適度に維持し、育む仕掛けづくりが必要だろう。

(※1)標準化死亡比とは?こちらをご参照ください。
(※2)介護保険第1号被保険者とは、65歳以上の被保険者。制度に関してはこちらをご参照ください。