経済諮問委員会は1月23日、”中長期の経済財政に関する試算”を提出した(1/24日経朝刊他)。

基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が2027年までかかるとの試算を示した。2010年に決定した財政運営戦略における目標2020年から7年、昨年夏に見直した想定からさらに2年遅れる見通しとなった。

しかも、この試算は2020年代前半に実質+2%、名目+3%以上の成長シナリオに基づくもので、潜在成長率が+1%とされる成熟国家には楽観的過ぎる前提と言えそう。実質+1%強、名目+1%台後半の成長の場合は、2027年でも8.5兆円の赤字(2018年一般会計予算案 10.4兆円の赤字)。

国家の台所事情がさらに厳しくなることで、地方財政にもじわじわその影響が出るとみるのが妥当であり、基礎自治体は財政基盤の拡充・健全化に向けた一層の自助努力を求められることになりましょう。

前提となる経済見通しに話を戻して、相変わらず甘いですね。見通しは”堅めに”が鉄則のはずですが。。。さらに問題なのが、これらの前提条件や試算結果・目標水準の妥当性などを独立して検証する機関(所謂”独立財政機関 ※”)が我が国には存在しないことです。

※独立財政機関: 選挙で選ばれるものではない専門家で構成される公的な主体であり、財政パフォーマンスについて非政党的な視点から監視を行うこと、財政政策について積極的あるいは規範的な助言や指針を提供することを任務とする機関(OECD)

明治大学公共政策大学院 田中秀明教授の調査によれば、先進国で独立財政機関がないのは日本だけ。政治家・政党・官僚には本来、財政を健全化させるインセンティブはなしとされる。独立財政機関の必要性が叫ばれて久しい。今後も成長&インフレ頼みが続く・・・。