3月11日(日)、松田町”地域で稼ぐ仕事をつくる!勉強会”、3回シリーズの最終回、藻谷浩介氏の講演会に出席しました。初回の講師はあの”やねだん”の豊重哲郎氏、そうそうたる講師陣の招へいに松田町の意気込みが窺える。

国際交流事業の勉強会と同様に町外在住者も参加可!デフレの正体や里山資本主義、しなやかな日本列島のつくりかたなどの著書を拝読した藻谷氏の話を直接聞ける機会は滅多にないと、久々のわくわく感を胸に会場である寄(やどりき)中学校へ向かった。
テーマは「寄を次世代に残すために何をすべきか」。まずは”先入観・固定観念”を払しょくすることの重要性を説くべく、犯罪件数や空き家数、そしていくつかの自治体の人口動態の”実態”を検証。多くの参加者が”イメージとの相違・ギャップ”に”ショック”を受ける講師の思惑通りの展開に 笑。

寄に関しては、非常に美味しい水がある(井戸水の水質でそのまま飲める!)、木がある、地域のまとまりがある、東京に近い(八王子と同距離)。これらの良さを住民が真に認識し、よそ者や子どもを広い心で受け入れることができれば消滅しない、存続できるとの結論。しかし、何もしなければ単純計算で100年前後で消滅することになる。寄が存続できれば、松田町全体としても存続できるとの見立て。

人口規模等で寄と同程度の群馬県上野村や東京都神津島で人口が減っていない事実が紹介され、その要因や背景を参考にすべしとされた。

人口動態に関しては、私もイメージとの相違に不本意ながらショックを受けてしまった。平成22年と27年の国勢調査の結果に関して、隣町である開成町の数字も検証された。私は各年齢階層の人口の変化は過去に確認済みで、0~4歳はすでに減少過程に入っていること、平成27年の生産年齢人口は(15~64歳)は、5年前の平成22年の10~59歳の人口から増加したことは正しく記憶していた。

しかし、平成27年と平成22年の生産年齢人口同士を比較すると、なんと減少していた!一瞬、数字のトリックに引っかかったと思ったが、平成22年の60~64歳の人口すなわち平成27年までの5年間で高齢者の仲間入りをした人口が多かったことが原因であり、真実であった。

そしてこれが正に少子高齢化である。頭が混乱しそうであるが、高齢者の仲間入りをした5年前の60~64歳の人口が、生産者年齢人口入りした5年前の10~14歳の人口より多い場合は(これまでの時点で既に高齢化が顕著に進行している自治体以外は通常は多い)、その差は即生産者年齢人口の減少となり、それを上回るだけの社会増がなければトータルでは減少すると説明できる。
要は、松田町も開成町も年齢階層別の人口増減はまったく同じで、0~4歳も15~64歳も減少、65歳以上が増加していた。少子高齢化が進行しているという点では一緒ということである。言わんとするのは、人口減少中の松田町でも増加中の開成町でも、いずれの町においても”子どもが産まれる環境づくり”がますます重要になるとの主張である。

開成町について、引き続き人口増加中ではあるが、歴史的な経済や人口移動のサイクルの中で、近隣他市町に比べて好環境が遅れて訪れているだけとの認識すべきだろう。少子高齢化は着実に進行中であり、国全体の人口減少が進む中で開成町も遠くない将来同様の状況になる可能性が高い。できるだけ減らない様にする努力・施策は当然必要ながら、自治体間の限られたパイの奪い合いによる体力消耗戦に陥る懸念もあり、費用対効果の検証も必要だろう。少子高齢化対策に関しても、広域での費用対効果を最適化を図るべく、連携した取り組みを検討すべき局面を迎えていると考えられる。