3月19日(月)、地方分権改革シンポジウム~地方の提案で国の制度が変わる~(主催:内閣府)に、明治大大学院の先生のお勧めもあり、行ってきました。

”消滅自治体”でお馴染みの増田元岩手県知事と法政大大学 高橋滋教授の基調講演の後、”提案募集方式”をテーマとするパネルディスカッション。パネリストは多くの”提案”実績を誇る豊田市の太田市長、事業構想大学院大学の田中学長、十勝バス(株)の野村社長ら。

<提案募集方式>
”提案募集方式”は平成26年に導入された制度。福祉や医療、介護、保育、農業、運輸等々あらゆる分野において、住民サービスはそれぞれの地域の実情に合わせて提供されるべきところ、全国一律の国の法令等が支障となっている場合などに、自治体などからの提案に基づき規制の緩和や権限の委譲を検討、実施するもの(ハンドブックはこちら)。
正直、これまで詳しくは知らない制度であった。依然として中央集権的であること自体は変わらず、小手先・小出しの対応との印象もぬぐえないが、一歩前進であるのも事実で、前向きにとらえたい。

<提案実績。松田町あり>
提案実績は47全都道府県はあるものの、市区町村は13%程度、町に限って言えば6%弱とまだ低い。認知されていないこともないだろうし、課題がない訳でもないのだろうが、実績は乏しい。マンパワーの問題などで単体では対応しきれない可能性もあるか。

ただ、松田町は結果的に対象外とされてしまったものの、”地域おこし協力隊員の転入地域要件に特定農山村法の指定地域を追加すること”を提案した実績あり。チャレンジの姿勢は高く評価されてしかるべきだろう。

<豊田市>
パネルディスカッションにて印象に残ったのは、豊田市太田市長の指摘した2点。
①市行政において、例えば”貧困対策”に関して複数の部署でそれぞれの支援制度に基づき個別ばらばらに対応している。縦割り行政の弊害に他ならないが、提案募集方式にて提案そして対応いただいたことによって、部分的に最適化が実現したとしても、必ずしも全体の最適化が実現したわけではないことを再認識すべき。いかにして全体の最適化を図るかが今後の課題。

②提案募集方式における国と自治体の関係を、自治体と住民の関係に置き換えることができる。市内の各地区の事情は異なっており、多様化したニーズに対応することが重要。豊田市では地域の課題を効果的に解消するための提案制度があり、1中学校区あたり最大25百万円/年を交付している(詳細はこちら)。

裕福な自治体故にできる施策と言ってしまえばそれまでだが、市川市の1%予算しかり、課題解決や多様化したニーズへの対応もさることながら、住民の参加意識・当事者意識を高める効果は計り知れまい。

先の茨城県阿見町の町長選において、明治大大学院の学友(大先輩ですが)が”住民参加予算”を公約の筆頭に掲げて見事当選された。私も、いかにして住民の当事者意識を高めるか、自分事ととしてとらえる住民が増えるかが町の活性化にとって非常に重要だと考えていることから、意を強くした次第である。