「コンパクトシティに逆行」と4/21付日経新聞が報じております。
記事によれば、
・116の自治体が立地適正化計画(国交省のパンフレットはこちらから)を策定したが、実効性が乏しい実態が明らかに。郊外の開発案件のすべてを黙認。
・地価が安い郊外の開発が進み、公共インフラが後追いする”スプロール現象”が止まらない。人口減少により税収が減ることに加え、過剰ストックの維持費が嵩むことになる。


米国では中心部に移る人に補償金を出す制度があることを紹介、日本の自治体にもコンパクトな街づくりのためにより強い手段を持たせる必要があることを訴えている。

ドイツなどには”コンパクト”の上をいく”スマートシュリンク”(郊外市街地の賢明なる縮退)なる事例もある。

しかし、いずれも、当然ながら短期的には財政的な負担を要する事業であり、それらが必要な自治体は即ち人口が増えてはいない自治体であり、概して財政的な余裕は乏しい。

補助金が出るとは言え、長期的視野にたった取り組みは実現し難く、行政運営が非効率化し余剰ストックが生まれる可能性は認識しつつも、目先の人口流入につながり得る開発を止める判断は結果的にできない。

さらに、農耕民族として生まれ育った土地への愛着や執着が強い民族性から、行政の都合に因る移住というコンパクトシティの概念自体が日本人には馴染まないように思える。

要は、その必要性やメリットは多くが理解しつつも、現実的に取り進めるのは容易ではない。高齢化や後継ぎ不足などで残念ながら集落がなくなる様な事態になったら中心部への集約・集中を図るといった、長期間をかけてゆっくりと進めざるを得ないものと考えられる。