平成30年7月豪雨災害によりお亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
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昨日、大学院講義「自治体行政と危機管理」にて、平成26年の広島豪雨災害への対応において広島市が認識した課題とその後の見直しについて学びました。講師は発災当時の総務省消防庁国民保護・防災課長(平成27年7月より広島市副市長に就任)。当事者から実体験を踏まえた話を伺う機会は滅多にありません、とても貴重なことです。

要旨は以下の通りでした。
課題1:避難勧告等の発令権限を有するものが4名もいたことが発令を遅らせた可能性がある。政令市など組織の大きい自治体ゆえの問題 → 原則区長が発令、と明確化。

課題2:1時間毎の実効雨量を主たる情報源としていたため、避難勧告等の判断が遅れた → 情報収集の間隔を10分毎に短縮。

課題3:避難勧告の発令が避難所の開設を前提していたため、発令が遅れた。→ 避難所開設の有無にかかわらず、迅速に避難勧告を発令することに。

課題4:避難所の解錠を依頼する連絡に時間を要したことで、避難勧告の発令が遅れた → 自主防災組織の複数人にカギを寄託することに。

課題5:消防局が災害対策本部の事務局も担い、過度な負担が生じた → 危機管理部門を市長事務部局に移管した。

課題6:区職員は災害警戒本部が設置されるまで参集することになっていなかった → 注意報発表時もしくは警報発表時に参集する制度を設けた。

今回の平成30年7月豪雨災害において、この時の教訓や見直しが活きたと考えたいですが、被害は平成に入って最悪のものとなってしまい、いまだ拡大中です。自然の脅威と文明社会の脆さの両面から捉える必要があると思われる。

いずれにせよ、上記の広島市の課題とそれぞれへの見直しや、今後明らかになるであろう今回の災害対応の検証を全自治体が参考とし、将来に活かしていかなければなりません。講師も常々『災害対応は過去の事例に学ぶしかない』と実感を込めておっしゃってます。

また、『自治体職員、特に危機管理担当者は、気象に関する知識も求められるようになった』。平成26年の豪雨災害の時は、4時間降り続いた雨が2時間一旦止んだことで、その後の対応に狂いが生じた可能性があり、気象情報への対応の難しさを痛感したとのことでした。

気象庁もそのニーズを踏まえ、”気象防災アドバイザー”の研修制度を用意しています(ホームページはこちらから)。危機管理に携わる方は是非受講して欲しいし、受講させてあげて欲しいです。