※7/30“ハザードマップ 想定雨量1”の続きです。

以前から気になっておりました各市町村のハザードマップ作成上の想定雨量について調べてみました。

過日の西日本豪雨において甚大な被害があった倉敷市真備町のハザードマップに関して、氾濫した小田川流域の想定雨量は225㎜/2日でした。実際の倉敷市の雨量は、7月5日・6日の2日間で211㎜であり、想定条件は非常に妥当な水準であったと言えそうです。ただ、過去最大の雨量が183.5㎜/1日(2011/9/3)であったことを踏まえると、想定雨量はもう少し多めに設定されていてもおかしくなかったようにも思えます。

いずれにせよ、実際の浸水被害を受けたエリアはハザードマップの想定と相当程度一致したことは各メディアが報道した通りであり、“精度”の高さが実証された格好ではあります。広島市安佐北区はどうでしょうか。小学校区を基本に、区内だけで16もの区域それぞれにハザードマップが作成され、想定条件も219mm/1日(30年に1度)~396mm/2日(200年に1度)と実に多様で、非常に細かい区分けがされております。

話が若干逸れますが、ホームページ上の災害・防災関連の情報提供は非常に充実しており、別途“広島市災害ポータル”を開設し(広島市災害ポータルはこちらから)、地域毎の避難勧告や避難所、雨量、災害危険度、水位等々の情報も発信しており、これ以上ないと思われる情報量です。

実際の雨量は7月5日・6日の2日間で316mm、6日の雨量229mm/1日は過去2番目に多い記録的豪雨でした(1位は約100年前の1926/9に記録した339.6mm/1日)。局地的に3時間で200mm超ともされた平成26年8月の集中豪雨とは異なる降り方でしたが、いずれにせよ再び土砂災害が発生してしまいました。

ご案内の通り、安佐北区をはじめ広島市内の多くが、花崗岩が風化した真砂土が岩盤の上に堆積した地質であり、地滑りや土石流、がけ崩れなどが発生するリスクが高いとされており、実際にこの4年の間に2度も大きな被害がでてしまいました。開発当時は様々な事情があったにせよ、本来は人が居住するには適していない場所と言えましょう。

今回の災害も教訓にして、今後の開発、特に住宅地の開発においては自然の驚異に対してもっともっと謙虚であるべきだと思います。国土の3/4が山ということで、制約はあるでしょうが、過去の災害から学び、リスクを極小化することが今生きてる世代が将来世代に果たすべき役割のひとつだと思います。

最後にバックビルディング現象について。今回の西日本豪雨においても、平成26年8月の広島土砂災害や昨年7月の九州北部豪雨と同様に、”バックビルディング現象(詳しくはこちらから)”が多発したことが確認されております(防災科学技術研究所の発表など)。この現象、発生する仕組みは解明されておりますが、いつ・どこで新たに発生し、どのくらい続くかなどについては現在の予報技術をもってしても”予測が難しい”とのこと。予測ができても被害をゼロにすることは困難です。ましてや予測すらできないものが相手なわけです、いざと言う時、最悪の事態を想定して行動するしかありません。