7/31(火)、日大アメフト部の悪質タックル問題に関して、関東学生アメリカンフットボール連盟は、日大の秋のリーグ戦への参加を認めないことを決定しました。事件発生に至った原因もさることながら、発生後の危機管理・危機対応が適切でなかったことも今回の厳しい決定の背景にあると言えます。4年生部員は最後のシーズンに参加できないという非常にショックな事態となり、大人の責任があらためて問われることになります。
同日、第三者委員会も最終報告を発表。そこで指摘されたうちの2点について、私が大学院「自治体行政と危機管理」で学んだ”危機管理のあるべき姿”の視点から触れたいと思います。
○「コーチが選手と保護者に対して不当な圧力をかけ、口封じをして事件のもみ消しを図ろうとした」
”隠ぺい”は事件そのものより以上に避難の対象になることを知っておくべきでした。ばれなければ済んだわけですが、そういう世の中ではなくなりつつあることは多くの国民が感じている通りです。
”隠ぺい”した時点で、個人の問題から組織の問題になり、所謂”組織ぐるみ”のレッテルを即貼られます。当事者以外も当事者化し、不信の対象になります。且つ、ばれないようにするために違反行為が拡大する可能性が高まり、問題が当初よりも相当程度重大化し、回復が困難になる恐れがあります。嘘の上塗りに近いものですね。隠ぺいはしてはいけません。危機管理において隠ぺいしてプラスになることはないと考えるべきです。
○「理事長には反省と謝罪を含めた自らの説明責任を果たすべき」
”トップの説明責任”が不可欠であることがあらためて指摘されました。”危機発生時こそ、リーダーシップの真価が問われる”と言われますが、今回は後手に回ったといったレベルではなく、いまだにその必要性が認識されていない様子です。ご本人は「8月にホームページに出す。会見はやらない」と仰っていたとのことです。
教科書的には、危機管理においては”トップの先見性と社会的視点にたった果断な対応が求められ、社会への説明責任を強く意識しなければならない”となります。
今回の一件は、まだ最終的な決着を見ていませんが、官民問わず平常時の組織のガバナンス(統治システム)強化の必要性とともに、事件発生後の危機管理能力の向上の重要性を強く印象付ける事件となりました。