町村議会のあり方に関する研究会が2つの新しい議会の形を提言した(4月2日付け日経新聞他。総務省HP上の報告書概要はこちら)。
高知県大川村にて現行の議会存続が危ぶまれ、町村総会が検討されたことに端を発し、議論が本格化したものと理解される。少子高齢化・人口減少の進行や大都市圏への人口集中などの著しい環境変化を受け、全国一律の制度が見直されるという点は前向きに評価される。同時に、時代の変化に適合せず制度疲労をおこしている他の事例の今後を占う意味でも、議論の行方が注目される。
<提言内容>
提言された新しい形は①集中専門型と②多数参画型。それぞれの特徴は、
①は議員定数を最少3人まで減らせる。少数精鋭のプロ議員に生活保障水準の報酬を支払う。多様の民意を反映させるため、議員数の2~4倍の議会参画員が参加する。
②は議決案件を絞り、権限や負担を減らす。夜間や休日中心に議会を開催。兼業・兼職の規制を緩め、立候補し易くする。
今回の提言は小規模自治体に限定された”特例制度”とされる方針とのこと。”小規模”の定義がなされていないが、例えば人口1,000人未満の自治体数は17、10,000未満は216。
<改革がなされるのは真に必要に迫られた小規模自治体のみか?>
今後、住民の意見等を踏まえつつ、各自治体が主体的に選択(現行維持を含め三者択一)していくことが重要だが、”変化・改革”に要するエネルギーと勇気は相当なものと推測されることから、実際に制度を見直すのは大川村など真に必要に迫られた自治体のみか。ただ、”小規模”ではない先進自治体が改革の好機と捉え、特例の基準緩和や撤廃を求める様なうねりとなる可能性も秘めているか!?
<地方議会・議員とは>
地方議会は議員によって構成され、構成する議員は住民の代表である。
この視点で、強いて言えば、”議員が住民の代表であること”により相応しいと考えられる選択肢は②の方か。多様な年齢層、性別、職業、地域等を代表し、できるだけ多くの住民の声を吸い上げ得る可能性が①よりは高いと考えられるためである。
発想を変えて、とにかく担い手を補うという目的を果たすために、非居住者であっても、議員を”職業”とするプロ議員の立候補も可とする案は如何だろう? 報酬の問題など別の課題が浮上するだろうが、民間企業では”社長職”として渡り歩く=招聘される優秀な方々が実際に増えていることを踏まえれば、”議員職”で応用できないこともないだろう。
<大川村はなぜ合併しないのか?>
例えば大川村の場合、合併がひとつの解決策になると考えられる。そもそも論としてなぜ合併しなかったのか、しないのかとの疑問は当然湧く。調べてみるとしなかったのではなく、できなかったようである。財政力指数の低さ(H28年度 0.10)などに引き受け手がいないとの見方もあるようです。
どれだけ人口が少なくても、住民が合併を希望しないのであればその声は尊重すべきです。しかし、仮に希望するのではあれば、県や国主導で、相応の財政支援の下、近隣自治体に合併をより強く促し、広域での課題解決を図る必要があると思われます。