昨日、多摩大学総合研究所の松本祐一教授のお話を伺う機会をいただきました。テーマは「協創の時代の到来」。”協創”とは協力して創る、人と人との思いのつながりを駆使して問題を解決すること、問題解決のために力を出し合うこと、との定義でよいかと思います。

たとえ話が実に巧妙で、目から鱗の連発でしたが、ご自身のマーケティング会社での実務経験やご自身の足で稼いだ情報を踏まえた考え・主張であり、説得力がありました。

まず”協創の時代の経営”におけるポイントとして、”多元主義”の重要性を説かれました。
トランプ政権誕生や英国のEU離脱などに”一元主義”が拡大する気配もあったが、寧ろ”もろもろの視点や価値観の共存を認め、複数の主張を容認する立場が見直されている。apple社のスティーブジョブ氏が「iphoneは電話の再発明」としたことや、日本の(有)エニシングの西村社長が前掛けは「贈り物に最適」との解に至ったことなどを引き合いに(ホームページはこちらから)、縛られていたことから自由になることの意義を主張されました。

人を惹きつける事業のポイントを以下の通り挙げられました。
・未完成であるが、動いている/前に進んでいること(言葉よりも動き)
・オープンアクセス(敷居・垣根が低く、業界や分野を超えて参入・関与が可能であること)
・共有できる物語(目的よりも構想。未完成≓穴だらけの大風呂敷の方が関心を呼ぶ)
・単純で分かり易いこと。
・遊びがあること(正しさよりも楽しさ)

最近の企業や起業の動向の特徴は、
・調査研究所を敢えて課題が存在する地域に構え(例:高齢化率の高い地域)、その地域での生活課題の分析や実証実験などを通じて、社会課題の解決のビジネス化を目指すケースが増えたこと。
・創業支援施設であるビジネススクエア多摩では、”40歳台女性”の創業希望者が増えたこと、とのことでした。

松本教授の様な実務家と学者の両方の顔を持つ積極的な方が協働している多摩市がとても羨ましく、創業支援事業の成果も期待できる!と感じました。(ビジネススクエア多摩のホームページはこちらから)
小規模自治体単体では、この規模の取り組みはハード、ソフトともに容易でなく、やはりこの様なケースにおいても広域での対応が望ましいと考えられます。用意されている起業支援の補助金制度を実際に利用いただくための仕掛けを協創する必要がありましょう。