日本総研さん主催の政策シンポジウム @経団連会館に参加しました。同社社員の高校同級生がこのイベントについて知らせてくれたお陰で申し込めました、ありがとう浩介!

テーマは”国に依存できない時代の地域・雇用・社会保障~自治体・企業・個人は何をなすべきか~。タイムリーで関心の高いテーマ。問題提起とそれに対する提言の構成で、主旨と意図はが分かり易かったです。

メインスピーカーの山崎史郎氏は介護保険制度創設の立役者。”ミスター介護保険”の異名を誇り、大学院の社会保障の講義でも度々登場。歴史上の人物が目の前に現れた気分でした。さすがに一言一言に説得力と重みがありました。

問題提起は①人口構造の変化(高齢者増加と生産年齢人口の減少)、②家族形態の変化(同居減少と高齢者世帯の増加)、③低所得者層の拡大(制度を支える力の減退)、④不安定雇用の拡大(制度を支える以前に自身の年金も不安)、⑤国家財政難。

これらの環境に対して取り組むべき改革として、大きく以下の3つを提言。
(a)ナショナルミニマムに特化する”公助”(基礎年金の引き上げ等)
(b)働くことによる”自助”(国民年金第3号被保険者130万円の壁や被用者年金の在職停止の見直し等)
(c)地域住民主体の”共助・互助”(地域自治組織への権限委譲、行政サービスにおける受益と負担の厳格化等)

山崎氏からは、
・非正規労働→未婚化→孤立化の悪循環が、社会保障制度の基盤を成す社会連帯の危機につながり、より深刻な問題となる。
・財政難で医療・介護等のサービス提供の持続可能性が危ぶまれているが、そのサービスの担い手不足も大問題。
・出生率が他国比低い主因は、20~29歳までの低さにある。30~44歳までは各国ほぼ同水準。現在は、共働きの方が出生率が上がる。共稼ぎによってようやく生活基盤が成り立つため。
→20~29歳の女性が働き易い環境(=結婚ができ、出産ができる環境)をいかにつくるかが、出生率上昇のカギとなる。成功例は共稼ぎ率が最も高い福井県(出生率1.63)。
・貧困の連鎖を断ち切る必要。子どもの学習支援事業を全国で約2万人が利用。浦和市では大学生250人がボランティア参加。
・東京一極集中の主因は”上京した女性が故郷に戻らなくなったこと”、など。
・税と社会保障の関係と今後の課題は、”国民皆保険と皆年金”と維持するか否かの議論集約される。
厚生労働省 社会保障財源

他に大分県杵築永松市長より同市の取り組み詳細について(要児童保護の就農チャレンジ事業、生涯生産者のまちづくり、住民自治協議会など)、(株)Waris 小崎代表より女性のキャリア継続や再就職における課題について、(株)高齢社 緒形社長より働く高齢者のメリット、派遣先のメリットと課題などについてお話頂戴しました。

出生率引き上げの課題や地域自治組織の重要性の高まりなどに関する話は示唆に富み、参考にすべき内容でした。ありがとうございました。

シンポジウム終了後、敢えて寒い地上に出て、約30年前に社会人のスタートを切った元長銀ビルを瞼に焼き付け、パリバ銀行の入居していたサンケイビルを仰ぎ見つつ徒歩で東京駅へ。移転後のパリバ銀行時代、週5で昼食のお世話になった懐かしの八重洲地下街の激安そば屋で当時と同じミックスそば大盛り無料を食して帰りました。満足。