ソウル市視察の最終報告です。

○病院
・延世大学付属のセブランス病院を視察。2,255の病床を有する巨大病院。隣に昨日ご報告した系列の葬儀場・・・。何ともコメントし難い立地であり、企業経営手法です。

・患者のみならず、面会者、出入り業者、職員すべてを客ととらえており、館内にショッピングモール、レストラン街、最上階にはスカイラウンジまであります。完全に”ビジネス”との印象。

・医療ツーリズムに積極的で、韓国で初めてのJCI(Joint Commission International)の認定を取得(日本も24の病院が認定)。韓国はUAEと協定を締結しており、UAE国民が韓国で医療機関を利用した場合、医療保険の適用対象になる。因みに、日本からも日本語でこちらから予約できます。

・各種手続きの電子化はもちろん進んでます。こちらの端末で、受診料の支払、病歴・他病院を含めた受診歴・薬の処方状況の情報提供、処方箋受け取り、駐車場の支払ができる。

特筆すべきは2点。ひとつは、処方箋を希望する薬局に転送でき、待ち時間なく受け取れること。

もう1点は、この端末は病院ではなく、業者が設置しており、利用件数に応じて病院が手数料を支払う仕組みであること。このビジネスモデルは、日本の役所でも適用可能で、我等が講師も日本の自治体に対して住民票等々の証明書発行機械を業者負担で設置する提案をしている。相応の規模が必要であり、小規模自治体単体では適用は困難かと思われるが、広域で連携すれば検討に値しそう。

○ヘイリ芸術村
・1998年、韓国の作家、美術人、映画人、建築家、音楽家など、様々な分野の芸術家たちが集まり形成された共同体村。芸術家の住いと作業室、美術館、博物館などの文化芸術空間が設けられている。

当初は370名、現在は240名の芸術家が居住。村長さんの話では商売自体はなかなか厳しいとのニュアンスだったが、駐車場はいっぱい、トリップアドバイザーなどの評価は高く、家族連れが一日楽しめる人気のスポットとされている。日本でもこれだけの規模で集積している施設はなさそう。”地域おこし”の域は超えており、国家戦略の規模との印象。詳しくはこちらから。

○パジュ英語村
・公立の体験型英語学習施設。学校、レストラン、警察、銀行、コンサートホール等が実際に営業され、英語漬けの生活を送る。

一目で過大投資と分かるバブリーな施設。投資額は100億円超で、創業来10年以上赤字らしい。発想としては決して悪くないと思うが、規模を誤ってしまったか。詳しくはこちらの日本語サイトから

視察報告は以上です。お付き合いいただき、ありがとうございました。文化や制度の違いはあるものの、多くの学びがありました。今後、人類未曽有の人口減少と少子高齢化社会を迎える我が国において、官民問わず生産性向上のための合理化・効率化は不可避。それぞれの自治体において、それぞれの事情やニーズに応じて、どの分野で何をどのように取り入れていくべきかが喫緊の課題であることは明らかです。わが町もいずれ人口減少過程に突入することから、将来を見据え、今から具体的な取り組みが不可欠との思いを新たにしました。