先週、日経新聞に「子ども医療費助成 どこまで」との連載記事が掲載されました。

この6月、9都県市首脳会議は厚生労働省に「国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置を直ちに全廃」との要望書を提出、ことここに至り、国は“不公平”の解消を求められる事態となったわけです。

既に今年度から未就学児に対する助成に伴う医療費増加分に関しては国庫負担金の減額調整はなくなっておりますが、即“全廃”となる可能性も含め、今後、小学生や中学生に対する助成に関しても減額調整がなくなる可能性は十分にあるように思われます。“ニッポン一億総活躍プラン”との整合性、少子化対策や子育て世代への支援、地方創生が重視される可能性が高いと思われるためです。

高齢者の医療費が無料化された際に問題となった病院のサロン化や入院の長期化などが同じように起きるとは思えませんが、実質的な助成の拡大は医療費の増大に直結することは確実です。

その増加分は巡り巡って増税や、現役世代や高齢者の負担増として跳ね返ってきます。そして更にその先には、拡大を続ける借金すなわち先送りされた負担を今助成対象となっている子どもたちが背負うことになります。国家財政を論じるにはあまりに無力ですが、“出を制する政策”がない以上、同様のことが繰り返されます。しかし、“永遠に”繰り返すことは不可能です・・・。

真に大事なことは、困っている人に支援の手が差し伸べられることです。この最も大事な目的が達成されることを最低条件にして、且つ長期的視野にたった世代間の不公平や国家財政の危機的状況に関しても十分に考慮の上、この医療費助成問題が議論されることを望みます。

また、この医療分野をはじめ、年金や介護、児童福祉、生活保護などそれぞれの制度がばらばらに、国家財政という母屋の上で増改築が繰り返され、仕組みは複雑化の一途です。現実的に非常に困難であることは承知の上ですが、これを機に“困っている人に支援の手が差し伸べられること“を軸に、各分野を跨いだ制度の整理統合を図る一歩とする発想も必要ではないかと思います。