「岡山県西粟倉村が村内の企業と組んで、仮想通貨を活用した資金調達(ICO。イニシャル・コイン・オファリング)を実施へ」と、先月、日経新聞他が報じました。

自治体とICO?すでにそういう時代が到来しているのか?!との驚きと同時に、当局の規制・ルールもまだ未確定の感があり、世界的に様々なトラブルも起き、値動きも非常に荒い仮想通貨を自治体が活用せんとする取り組みは、非常に先駆的で果敢なチャレンジであるとの印象を持ちました。まだまだ不勉強ですが、ICOとは、簡単に言うと、企業などが独自に発行した仮想通貨をインターネットを通じて、国境を越えて不特定多数に直接販売することで資金を集めること。

西粟倉村の描く仕組みは、
・新設する一般社団法人が仮想通貨を発行し、村の会計とは切り離して管理する、
・仮想通貨の購入者(投資家)は、村で新規事業を立ち上げようとするベンチャー企業に投票する権利が付与される、
・ベンチャー企業はより魅力的な事業を考案し、投資家が地域づくりに参加することによって、仮想通貨が創る独自の自立した経済圏(トークンエコノミー)を形成する狙いがある、
・そして、投資家は村内での(恐らくネットショップでの)物品・サービス購入を仮想通貨で決済できる。

極めて先進的な取り組みですが、仮想通貨の投資家はふるさと納税とは若干異なり、プロが多く、投資目的も純粋に値上がりによる利益追求である方が少なくないと思われます。よって、成否のカギはまず新規事業の内容と考えられます。

新規事業や復興支援のクラウドファンディングなどと同様に、西粟倉村の創生・活性化を”支援”したいとの思いのみで投資される方もおられると思いますが、一般にはまだ馴染みの乏しい仮想通貨において、どの程度のものか予想は難しいです。

いずれにせよ、手段を問わず資金調達を自力で行おうとする自立の精神、それを村のための事業を行うベンチャー企業に投資する攻めの姿勢はなかなか真似のできることではありません。”初めて”につき、これから多くの課題をクリアしなければならないでしょうが、今後の経過を注目していきたいです。