映画「おだやかな改革」を鑑賞しました。

概要ですが、以下の映画.comの解説と監督のコメントをご参照ください。
映画.comの解説: ”過疎化や高齢化など多くの課題を抱えた地域で、これからの暮らしを自分たちの手で作り出し、本当の豊かさを取り戻していく人々の姿を描いたドキュメンタリー。それぞれの「暮らしの選択」の先にある生きがいや喜びに満ちた暮らしを通して、現代社会が見失った「豊かさ」とは何かを問いかける。

渡辺監督のコメント(抜粋):“3.11”は、エネルギーの大消費地の”首都圏”と、”地方”との格差を浮き彫りにしました。現在、エネルギーの大半は海外からの輸入に頼っています。大きなシステムに依存しすぎている社会は、脆弱な社会です。

「再生可能エネルギー事業を自分たちの手で起こす」という動きに注目が集まっています。地域住民が将来の世代のためにお金と志を持ち寄って立ち上げる「エネルギー自治」は、地域の「自治の精神」を現代によみがえらせる動きでもあります”

福島県会津・飯舘電力、秋田県にかほ市の風力発電、岐阜県郡上市の小水力発電、岡山県西粟倉村の100年の森構想など内容盛り沢山の100分間。これからご覧いただく方のために余計なコメントは控えるべきですが、いろいろ考えさせられました。

東京一極集中と地方、エネルギー消費地と供給地、エネルギーの自給自足。ひとり、ふたりの”人”の行動が共感を呼び、地域の人々を動かす。共鳴した人が全国から集まる。最終的にはやはり実際に行動・実践する”人”が大事!との思いを新たにしました。

いくつも胸に響く言葉がありましたが、(福島で山積みされたままの汚染土を前に)”エネルギー問題も先送りされている”とのコメントが印象的でした。先送りされているのは借金だけではなかったとあらためて、目を逸らしてはいけない現実的な課題を突きつけられました。

(ICOの村!)西粟倉村でCクラスの木材の価値が低過ぎると判断する着眼点と、それを引き上げるために具体的に取り組む実践力には恐れ入りました。実は問題意識が抱かれることのないまま処理され続けている同様のケースがまだまだ眠っていそうな気がしました。

会場は二宮町ラディアン花の丘公園。涼しく心地よい屋外、星空の下での鑑賞はちょっとした非日常でした。
帰宅後に知ったのですが、この映画はクラウドファンディングにて資金を調達して(目標300万円に対して520万円を調達)、制作されたものでした。前作”よみがえりのレシピ”での実績を有し、今回もこれだけの質を誇り、強いメッセージを発する映画であっても、監督自らが制作のための資金集めから始めなければならない現実に驚きました。厳しい世界ですね。

ただ、目標額を上回る額を調達できたことは、”これからの時代の豊かさ”への問いかけに共感する人が少なくないことの証ですね。