日経グローカル8月号で”増える外国人、どう共生するか”との特集が組まれておりました。

内容としては、我が国の労働力不足を補うために外国人労働者の受け入れは不可欠 → 政府も政策を転換し受け入れ策を拡充 → 外国人住民の増加に伴う課題の整理 → 相互理解や受け入れ態勢整備の先行事例の紹介。

頭の中を簡単に整理させていただくと、日本の生産年齢人口(15~64歳。下のグラフでは黄緑の部分)は1997年に約8700万人でピークを打ち、2016年時点で7600万人まで減少。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によれば、今後、減少は加速する見込み(2030年 約6800万人、2040年 約5800万人)。※詳しくはこちらの総務省白書から
在留外国人数は平成30年3月、約250万人まで増加、全人口に占める比率は1.96%まで上昇。※詳しくはこちらの法務省資料から外国人労働者数も平成29年10月、約128万人まで増加。※詳しくはこちらの内閣府資料から
特集記事で目を引いたのが”外国人人口の急増地域は都市部ではなく人口規模が小さい町村”との一文。さらに”外国人労働者の受け入れ拡大施策によって、農業・介護・宿泊業など地方により密接な産業が開かれることになり、外国人とこれまであまり縁のなかった地域で外国人が増える事態が突然起こることが想定される”と続いていました。

東京都新宿区や豊島区など都会での外国人比率が高いことは知られていますが、最近の”増加率”(2013年から2018年まで)で見ると地方の町村が上位に名を連ねているのが実態でした。リゾート施設・温泉旅館・スポーツ関連などの観光業や製造業への就労増加が主な要因とされておりました。

神奈川県の市町村の中で増加率トップ100にランクインしたのは、近隣の足柄上郡中井町(20位1.9倍)と足柄下郡箱根町(35位1.4倍)でした。中井町の知人に伺ったところ、食品関連の製造業での採用増に因る、フィリピンの方が多いとのことでした。

足柄上郡5町の人口は、社人研の推計では2045年までに26%も減少するとされています。将来の財源確保のためにどこの自治体も企業誘致に力をいれていることに例外はないと思いますが、仮に足柄上郡の地理的条件がニーズがマッチしたとしても、果たして労働力は確保できるか?、進出企業側が外国人労働者を優先して/大量に雇用する方針の場合、外国人が地域に馴染めるか、住民との間との問題は起きないかなどの課題に直面する恐れが、特に今後はあるかと思います。
何が言いたいかと言えば、足柄上郡においても、先々を見通して、地域経済の下支えと活性化のために、日本語教育や居住地の確保など外国人の受け入れ態勢を整備し、文化交流などを通じて相互理解を深める努力を今から少しずつでも行っていく必要があろうかと思う次第であります。

岡山県美作市が”外国人3000人構想”を掲げて、海外、特にベトナムからの移住者を積極的に受け入れる戦略を打ち出しておりますが、人口減少・地域経済の衰退といった同様の問題を抱える地方の自治体の中には、この戦略に追随するところが出てくるものと予想しております。