8/17(金)付け日経新聞に「物価の”体感”は高齢者ほど重く」との記事が掲載されておりました。
○記事を要約しますと、
・60歳以上の人が購入する品の物価上昇率は60歳未満の人のそれより大きい。住宅関連や生鮮食品の上昇などが影響している。
・年金受給額は物価上昇率を加味すると、ここ数年は実質的に減少基調にある。
・世帯主が60歳以上の金融資産保有額は、2012年から2017年にかけて2割以上減少した。
言わんとするのは、”60代の消費は盛り上がりを欠く。消費拡大には年金以外の所得を確保することが重要である”ということでした。
○60歳以上の消費額は、現時点で日本全体の5割を占める
今後の少子高齢化の進行を踏まえれば、その比率はさらに上昇するものと見込まれ、日本経済の先行きに大きな影響力を持つことは間違いないです。
生産年齢人口(15~64歳)の減少・労働力不足を補うために、民間では定年延長が緩やかながらも進行中、再雇用などの形で契約内容・働き方を変えて労働力を提供し続ける方も増えていると認識してます。公務員に関しても、人事院が国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に上げるよう国会と内閣に申し入れるなど、同様の方向にあり、今後、60歳以上の所得自体は増える可能性があると思います。
ただ、定年延長などはあくまで”現役”の労働者に関するものです。主に年金に頼る世帯の消費拡大を促すとすれば、やはり年金以外の所得を確保することが重要である、ということになりましょう。
国は、厚生年金などの被用者年金(詳しくはこちらの日本年金機構HPから)の”在職で収入が一定額以上あると年金支給額が減額される仕組み”(詳しくはこちらから)の見直しを検討しているとも聞きますが、仮に年金支給開始の年齢が引き上げられれば、その効果は相殺されてしまいます。よって、年金制度の見直しによって消費が刺激される可能性は高くないと考えられます。
○基礎6自治体レベルでできることは?
定年を迎えられた方々の活躍の場として各市町村で組織されているシルバー人材センターの機能拡充と横の連携強化が考えられると思います。(神奈川県シルバー人材連合会のホームページはこちらから)
機能拡充:これまでのお仕事内容は、一般企業への派遣、公共関連、植木剪定などの屋外作業、家事代行などの屋内作業が中心かと思いますが、こられに”専門的な知識や経験を要する分野”も対象に加えられないでしょうか。税・会計、金融、法律、コンピューター、外国語、文化・芸術などの分野をイメージしております。資格の問題、民業圧迫の可能性など課題はあり、逆に金銭的な見返りは求めず、社会貢献として地域に還元したいとお考えの向きもおられると思いますが、対象事業の拡充を模索する意義はあろうかと思います。
横の連携:要は近隣市町村との連携強化です。A町では対応できない事業でもB町ではできるとか、C町にある企業のニーズに最適の方がD市に住んでいるケースなど、ニーズのミスマッチを減らす効果があると思います。電子的なネットワークを構築し、ユーザーの検索等を容易にしたり、ニーズを的確に把握することによって効率的な事業展開につなげる効果があると思います。財源の問題もあろうかと思いますが、ゆえに”連携”によってコストの最小化と効果の最大化を図るわけです。折しも、少子高齢・人口減少社会突入を前に、”圏域”での行政推進の道が示されつつあります。