松田町主催のセミナー「女性が輝くまちづくり ~みんなでつくろう!ハナサクマチ松田町~」に参加させていただきました。同町が”女性が輝くまちづくり”のために取り組んでいる男女共同参画プラン、女性活躍総合戦略についてご説明いただき、お茶の水女子大学 長澤准教授のお話を伺いました。町としては、参加者の中から”女性活躍のための取り組み”を一緒に推進していくメンバーを発掘するという狙いもあったようです。

○女性活躍総合戦略
この4月、女性が輝くまちづくりのための具体的な取り組みとして、「女性活躍総合戦略」を策定。基礎自治体レベルでは先行事例が少なく、先進的と言えます。基本的な考え方として、「趣味や年齢に応じた生きがいをもち、女性が自らの意思で個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野でいきいきと活躍する社会を実現することを通して、2040年の人口10,000人の目標を達成すること」を目的に掲げられておりました。
町民へのアンケート結果を踏まえ、基本目標・重点目標・基本方針を設定し、具体的な政策内容までは策定済み。今後、事業の推進部隊のメンバーの拡充を図りつつ、実行に移るとのことです。女性活躍総合戦略等協議会は、委員15名のうち実に13名を女性が占め、趣旨に沿った構成が早速に実現しているとの好印象を受けました。今後の動向にも注目したいです。

○講演「私たちの力で地域活性化!女性が輝くまちづくり」 お茶の水女子大学 長澤准教授。
・専門の建築・生活工学にもなぞらえて、まちづくりや女性活躍について語られました。「家庭内でも”居場所・落ち着ける場所”があれば、ストレスが減る。まちや地域においても同様」との言葉は目から鱗でした。これは全世代・男女共通だと思いますが、”居場所の有る無し”がそのまちに住む上での安心感や満足感、幸福感に大きな影響を与える、ということですね。米ポートランド初とされるカフェ併設のコインランドリーの例を引き合いに、居場所や地域コミュニティーの効用や重要性を説かれました。

・男女共同参画において、いきなり”男女平等”のような話から入るのではなく、子育てとは?とか料理の楽しさなどから入っていった方がよい。女性の起業支援についても、どんな事業がよいか?とか手続き等から入るのではなく、まずは様々なコミュニティーやネットワークでの会話や交流から始め、自身や地域、世の中のニーズを探り出すような順序の方がよい、といったお話でした。

例えば、自治会の女性役員を増やした方がよいと考えた場合、如何にして増やすかを議論する前に、自治会とは?とか、各種行事や団体の位置づけや内容、必要性などについて意見交換を重ねる中で自ずと探るべき方向や、とるべき方法が見えてきそうな気になりました。(この4月に発足した開成町みなみ自治会では役員の半分は女性にすることを発足当初にルール化したとのこと!画期的!という話を耳にし、刺激を受けた直後でしたので、この例を用いました)
○労働力としての期待
男女共同参画や女性活躍に関しては、今のところ、男女の平等、女性の多様な働き方、個性・能力の発揮できる社会そしてワーク・ライフ・バランスの視点で語られることが多いです。今後は、”労働力としての期待”の視点がより重視されてくると見込まれます。国家レベルの重大な課題である”労働力不足”への対策として、女性の就労支援や女性の労働環境の整備がなお一層重要視されてくるでしょう。

我が国の生産年齢人口はピークを打ち、年間数万人ずつ減少中であり、今後その減少数は加速度的に大きくなっていくと予想されております。経済規模を維持するためには、①減少分を補う、②生産性を上げる、③長く働くしかありません。減少分を補うためには、定年延長・再雇用などで高齢者、外国人、そして”女性”に頼るしかないのであります。基礎自治体においても、女性の就労を支援する取り組みを積極化させる必要性が一段と強まることになります。