先月初め、小田原市と南足柄市の合併見送りが発表された。南足柄市加藤市長は”合併により10年間で累計150億円の財政効果が見込まれるとした点は、歳出削減のみの効果額で、約70%は人件費と電算システムであり、効果は限定的”、”歳入を増やす新規の安定財源の確保の方策を示すことができなかった”とし、将来にわたる財源効果にはなり得ないという見解が示された。

両市とも今後2〜5年で収支不足が予測され、経常収支比率などで見る限りは南足柄市の財政は厳しい状況にあると見られる中で、試算とは言え150億円の財政効果が見込まれるにも関わらず合併に至らなかった理由は何か?

あくまで個人的な見解ですが、数字・定量的なものよりも感情など定性的なものが主な原因、との印象。
市の名前が消えることや”編入”されること、市役所が支所/分庁舎になることへの抵抗感や寂しさ、周辺地域への行政サービスが低下し取り残されるのではないかとの不安や地域の歴史・文化・伝統が失われるのではないかとの懸念などが財政的なメリットを上回ったものだと解釈します。開成町を含むすべての(平成の大合併における)未合併市町村にとって、今後の教訓・参考となる実例であり、記憶に留めたいです。

※参考まで、昨年の大学院の授業(自治体財政研究)にてまとめた南足柄市の財政分析を添付いたします。経常収支比率などを見る限り、財政はまだ厳しい状況であることが伺われました。南足柄市の財政分析