大学院 2018年初授業。政策評価研究の11回目。
今回はプログラム(施策、手段)のロジックモデルの5回目の演習。高齢者の徘徊問題を解消する作戦と称して、”徘徊による高齢者の事故が減少すること”を上位目的とした場合の作戦目的と直接目的、具体的な手段とその評価測定指標を考えました。
ロジックモデルとは、目的と政策手段の関係を明らかにすることを最重要視するもの。支出の適正な管理が主目的とされる事務事業評価とは異なり、活動自体の評価・改善を目的とする。先行自治体においては業務棚卸(表)などの名の下に取り組まれている。
基本構造は以下の5項目。
1.上位目的(目指す究極の成果)、2.作戦目的(上位目的の実現に貢献する中間的成果)、3.直接目的(具体的な手段による直接的な結果)、4.具体的な手段、5.成果を測定する指標。
目的から手段を考える場合と、手段から目的を考える場合の二通りのプロセスがある。現実的には後者の方が多いとされる。目的が不明確なまま、必要だから実施されている業務が多いことの証左と言える。目的が明確化されることによって、活動の評価や改善が図られ、PDCAサイクルも真の意味で機能する。
この講義では、豊岡市や四日市市、館林市などの先行事例を参考にしつつ、行政の様々な業務におけるロジックモデルの作成を繰り返すことによって、政策策定能力の基本の習得します。NPOの活動など他の分野にも適用でき、行政関係者以外でも役立つものです。職員の昇格試験のメニューのひとつにするなど、政策策定能力の判断基準として非常に重視している自治体もあります。
その作成から評価までに相応の時間と労力を要することから、小規模自治体では現実的に対応が容易ではないとされます。それでも、考え方自体は学んで損になることは一切ない上、最終的には、官民問わず我が国の課題である生産性の向上にも寄与することから、ぜひチャレンジしたい分野です。