先日、埼玉県横瀬町で開催された「知るでも学ぶでもない、カードゲームで体験するSDGs」という企画に参加してきました。ご案内の通り、SDGsとは”Sustainable Development Goals”、”2015年に国連で採択された、2030年までに全世界で持続可能な社会を作るための目標”です(詳しくはこちらの国連開発計画のHPから)。

その重要性は認識、大学院の授業でも頻繁に登場、先進自治体では既に具体的な取り組みに着手していることは承知しているものの、”17の目標と169の具体的なターゲット”を目の当たりにすると、そのぼう大さにどこから手をつけてよいのやら、若干たじろいでしまうのが正直なところでした。そんな私にうってつけの案内が届きました。カードゲームで体験できる?!と。
カードゲームの内容を言葉でお伝えするのは容易でないですが(詳細はこちらの(一社)イマココラボのHPもご参照ください)、参加者は”お金”と”時間”を与えられ、各種”プロジェクトの実行”を通して、それぞれに課された”目標”(一定以上の富+富を利用できる豊かな世界、一定以上の時間+時間を堪能できる豊かな世界、一定以上の環境に対する意思+生きる意味が感じられる豊かな世界など)の達成を目指すものです。

プロジェクトは必要とするお金と時間、成果として得られるお金と時間、世界の経済や環境、社会へ及ぼす影響などが異なり、その時の世界の環境に応じて参加者が実行か見送りなどを決断します。また、参加者の間で目標や意思に応じて、プロジェクトの交換や売買、寄付が可能です。お互いに説得や交渉が伴い、ゲームとはいえ実社会さながらの状況におかれていることに気づきます。
経済にとってマイナスとなるプロジェクトや出来事が想定されていないため、経済vs環境か、経済vs社会の対立構図ができ易いと思われることが気になりましたが、様々な価値観や目標をもった人々が、刻々と変わる世界の状況も踏まえながら、いかに行動するかによって”2030年の世界”が見えてくるよくできたゲームでした。

既に全国の中学生・高校生、それぞれの教員、企業、自治体などでこの類のカードゲームの実施は増えているようです。この日の開催地 横瀬町でも職員の方々は体験済みでした。横瀬町はSDGsに関する自治体間パートナーシップ(※1)のひとつである「持続可能な発展を目指す自治体会議(※2)」に加入しているおり、(一社)クラブヴォーバンなどを通じて研修・情報交換などに努めてらっしゃるご様子です。

※1:理念や課題が共通する自治体が連携体制を形成し、単独では解決できない課題の解決や先駆的取り組みを進めることで持続可能な地域の創生を目指すもの。他に「ローカルベンチャー推進協議会(7市町、1NPO)」、「持続可能な小規模自治体アライアンス(2町)」など。
※2:北海道ニセコ町、岩手県二戸町・葛巻町・雫石町、鳥取県北栄町が参加。
神奈川県は「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定され、「ME-BYO 未病産業の創出」などを通じた実証計画やSDGs達成の目標が掲げられております。ただ、県西地区は”ME-BYO”のモデル地区でありながら、”SDGs”はまだまだ浸透していないと感じます。BiOTOP!Aがまだ第一期のオープンを済ませた段階であり、2021年以降のフルオープンを迎える頃には相応に認知度が向上している可能性はありますが、自治体としても、モデル事業が展開されている全国的にも限られた地域であることから、住民に向けた”SDGs”の啓発活動などもう少し積極的であってよいのではないかと思います。そう、まずはこのカードゲームあたりから入っていくのはいかがでしょう。