一昨日、10/1(月)、講演会「平成30年7月豪雨と今後の対応」(主催:英国政府チーブニング奨学金留学生同窓会)に参加しました。講師は主催の同窓会会員であられる岡山県議会議員の三宅和弘氏。同豪雨災害時に複数の避難所において被災者の支援にあたられた経験を踏まえ、倉敷市と総社市の対応の差も引き合いに、支援のあるべき姿について非常に貴重なお話を聞かせていただきました。
○両市の対応の違いについて
氾濫危険水位に達した時刻は、倉敷市小田川が7月6日21時頃、総社市高梁川が7月6日22時頃とほぼ同じであったが、その後の対応に差が発生。結論としては、倉敷市は”役所側・職員の都合に基づくペース”、総社市は”被災者のニーズに基づくペース”であり、人口や被災者数の違いに因るとは言えない。今後の参考にすべきは総社市の対応。
具体的には、避難指示→ボランティアセンター開設→支援物資受入→資金援助が、
総社市 6日22:15→8日→9日→21日 1世帯あたり5万円を支給、
倉敷市 7日1:30→11日→12日以降→23日 1世帯あたり2万円貸与。
両市の対応の差はどこからくるかについて、講師の個人的な見解として、①普段の仕事ぶりが緊急時にも出てしまうのではないか、②市長のやる気。素晴らしい方ではあるが、災害対応は別物。
○避難所の実態について
・総社市にて、子ども会会長や小学校の女性校長が仕切っていた避難所は上手く回っていた。
・倉敷市にて、責任者が曖昧だと、被災者とのコミュニケーションが自ずと不足し、必要なものが届かなくなった。
・最後に困るのは高齢者。若者は情報収集や買い物、風呂などやろうと思えば自家用車も活用し、自力で何とかなる。高齢者はそうはいかない、特別な配慮が不可欠。
・アマゾンのほしい物リストが非常に重宝、多用される。ボランティアセンターは立場的に弱く、行政から欲しいものがすぐに供給される関係にはないため、水分などを自力で調達するケースは多い。
○今後の災害時 避難所運営において不可欠なこと
講師の考えは以下の3つでした。
・避難所に必要な物資の情報が行政に届き、迅速に届けられる仕組みづくり。
・運営体制を確立するための行政職員。
・どの段階で何が必要になるか、先を見た準備と被災者の方への情報提供。
現場での実体験を踏まえた話はやはり説得力が違います。日頃からの準備と訓練の重要性、防災関連部署の職員のみならず担当外の部署からの応援職員も避難所運営等にしっかり貢献できるだけの備えをする必要があることを再認識しました。また、特に首長は災害時に先を見た適格な判断が即座にできるよう、常日頃から過去のデータも踏まえ、想像力を働かせる訓練を繰り返し行っておく必要があることもあらためて教えられました。