防災講演会”富士山噴火と箱根山噴火のその後”(主催:小田原の防災を考える会)に参加しました。関心の高さでしょう、UMECOの会場は超満員でした。

講師は神奈川県温泉地学研究所 主任研究員 萬年氏。『私の話は面白いんですよ!』とおっしゃる通り確かに聞いてて面白い、飽きませんでした。講演会には珍しい理解度チェックシート≓ミニテスト付き。折角の機会、最低限覚えて帰ってください!との講師の意向の表れでした。

要旨:
・日本の活火山は111。うち常時観測しているのは47だけ。インドネシアですらすべて常時観測、日本は対応が遅れている。うち32が”百名山”に指定されているが、自身が登っている山が活火山であることを認識していない登山者が意外に多い。

・平成27年に大涌谷の火山活動が活発化した際もそうであったが、メディアの報道や専門家と称する方々のコメントはかなりいい加減。観光業者が安全・安心を訴えるのは問題だが(お気持ちは非常に良く分かるが・・・とのことでしたが)、危険だ!大変な事態だ!と根拠なく、大袈裟に叫ぶのもよくない。火山活動に対する課題・問題に対する実際の対応状況を客観的に伝えるにとどめるべき。

1707年の富士山 宝永噴火でも死者はゼロ。同規模の噴火が今起きたとしても、想定被害総額は1.2兆円、東日本大震災の16兆円とは比較にならない。ただ、降灰は(風向きにもよるが)神奈川県西部で60cm、東部で20cmが想定される。

宝永噴火の際の火山泥流(ラハール)の被害は200年間に及んだ。富士山噴火に伴う複数の土石流を含む地層断面の調査結果が開成南小学校に展示されている。
ラハール対策として、上流に堤防を設置することによって被害を受け入れ、下流域を被害から守るという考え方がある。実際には県でも何も結論は出ていないし、具体的な対策は何も決まっていない。
・富士山の噴火の記録。鎌倉時代がゼロとなっているのは武家政権が記録を残さなかっただけ、との見方も。過去3200年の間に平均して30年程度に1度噴火。1707年以降噴火が起きていないのは異例の事態ではあるが、噴出量が1㎦以上の大噴火となる確率は7%。

感想:富士山の大規模噴火の可能性は平均して30年に一度の噴火のうち7%、約400年に一度とされるが、300年もの間噴火していないことを踏まえれば、いつ起きてもおかしくないことになる。住民としては降灰の被害に関する最低限の知識(肺に入ったら危険、家に入らない様注意、木造家屋の屋根に一気に数十cm積もって雨が降ると倒壊の危険あり、側溝や河川に流さず、不燃物としてごみ袋で処理するなど)は蓄える必要あり。行政としても地震や洪水と同様に避難方法や、降灰対策を決定並びに周知する必要性がありますね。