「介護、外国人がサポート ~日本語習得・処遇に課題~」、10/15(月)付け日経新聞が報じております(電子版の記事はこちらから)。

記事は「外国人を介護人材として受け入れる道として経済連携協定と在留資格に加えて、昨年”技能実習制度の介護職種”が追加された」、「人手不足に悩む介護事業者も外国人の獲得を積極化し、自治体も支援に乗り出した」としています。

2025年に約8500人の介護人材の不足を見込む横浜市は、介護を学ぶ学生に日本語学校の学費を年間で最大35万円補助する。東京都も日本語学習の経費など100万円/1人まで支給し、さらに技能実習生を受け入れる事業者に研修費を最大67万円の半分まで補助するなどかなり積極姿勢です。

多額の補助をしてまで人材を確保する必要がある、言い換えれば人材を確保するためには相応の補助が必要な状況にあると言えます。この5月時点の推計では、2020年度までに26万人、2025年度までに55万人もの介護人材を確保する必要があるとされ(第7期介護保険事業計画はこちらから)、深刻な人手不足は都市部に限った話ではなく、地方でも同様と考えられます。私が、外国人との共生への取り組み(日本語教育や異文化交流など)や、日本人住民への英語(多言語)教育の充実の重要性を訴えている理由のひとつはここにあります。
ただ、介護人材の確保に向けたハードルがもうひとつあります。他国との競合すなわち人材の奪い合いが激しくなる恐れです。記事ではドイツとオーストラリアがベトナムにて有利な条件を提示している事例が紹介されておりますが、少子高齢化が進行中の中国や、日本よりも出生率が低い韓国・台湾・香港・シンガポールなどにおいては労働力不足という課題は日本と同様です。

記事では”人材確保のためにも、介護職全体の処遇を改善する必要がある”と訴えております。介護職員初任者研修の修了者として報酬の水準感を持ち合わせている私も、その意見には同感です。しかしながら、社会保障制度の財政ひっ迫状態からして、処遇改善は利用者負担の増加につながる可能性が高いと思われます。要は結局のところ、介護予防・健康寿命の伸長への取り組みがなお一層大事になる、との結論に至りましょう。