11/8(木)付け日経新聞他によれば「ホテル最大手のマリオットと積水ハウスが道の駅に訪日客用のホテルを展開する」。2020年秋以降、京都や岐阜などで、3~4階建ての低層ホテルを15前後開く予定。宿泊費はマリオットとしては低めの1万円~1万5千円。建設用地は自治体などから借りて、投資負担を抑える方針とのことです。
この事業の背景としては、訪日客のさらなる増加、中でも大都市以外の地方観光需要の伸びが見込めること、地方都市の宿泊施設が不足していることが挙げられます。狙いのひとつは農村部を訪れるリピーターの需要を開拓することとしてます。(記事はこちらから)
勝算があっての投資に相違ないでしょうが、世界最大手で且つ日本ではブランド高級ホテルを経営するマリオットと道の駅の組み合わせが何とも興味深いです。調べてみると、全国1145の道の駅の中で、現在既に81の駅に宿泊施設があります。関東には4つだけであるのに対して、北海道17、東北9、四国12と地方都市に多い点はマリオットの戦略と共通しています。異なるのは訪日客をターゲットにしている点、外国語表記を充実させるとしています。
是非とも訪日客の増加に貢献して欲しいと願うばかりです!雑感の述べると以下の通りです。
地元同業者から反対の声があがる可能性がありますが、地域の知名度アップや観光客増加を通じて地域全体でその効果を享受できるよう前向きに取り組んで欲しいと個人的には思います。何せ、縮小が懸念される国内経済・観光市場の中でインバウンド需要は貴重な期待できるセクターですし。
宿泊施設の併設は即ち“施設の更なる複合化”を意味するでしょう。休憩、情報発信、物品販売、防災拠点などの機能に加えて、外国人を主要ターゲットとした宿泊の機能が追加されることで、観光拠点として価値が著しく向上する可能性がありそうです。
地方を訪れる訪日観光客が増えることで、地方でも外国人が一段と身近な存在になる可能性がありましょう。観光業に携わる方々には今更のことだと思いますが、その他のサービス業等々においても外国語表記・案内・対応の充実の如何によって業績に差が生じることは十分に想定されます。
消費額について。私が申し上げるまでもないことですが、訪日客の消費額はうなぎ上り、2014年に初めて2兆円を突破し、2017年には一気に4兆円超え。日本人の国内家計消費支出額が300兆円弱の水準でほぼ横ばい推移であるため、その比率は1.3%まで上昇している。僅か1%程度の水準ではありますが、東京オリパラに向けて、そしてその後も他国比ひけをとらない訪日客の定着を想定すれば、一段の成長が見込まれる分野として、需要を確実にものにする姿勢が不可欠だと思います。開成町も決して観光地ではありませんが、訪日客からの観光収入は今が少ないだけに、潜在的な増加余地は大きいと考えられ、積極的なプロモーションが求められます。
最後にお隣の南足柄市で建設予定の道の駅について。仮に外国人向けマリオットホテルが併設される状況を想像したら、地域の経済や文化に黒船並みのインパクトが想定され、インバウンド需要の取り込みに向けて非常に面白い展開が期待できます。しかしながら、開成町は統計上宿泊者ゼロの町でありますが、南足柄市の宿泊施設への需要や稼働率が不明な中では適当なことは言えません。予定地のビレッジ構想地区の施策方針にもそのようなことは盛り込まれておりませんので、現時点では空想にとどめることとします。