11/20(火)、「~県西地域の道路について考えましょう~ 未来のみちシンポジウム」(主催:小田原箱根商工会議所建設部)に参加しました。

国交省横浜国道事務所 小澤副所長による基調講演「神奈川県周辺の道路の現況」は、県内道路の歴史と未来について、これまで知らなかったことも多く、興味深い話でした。

・県西地域においては、1960年代に全国に二番目の自動車専用道路として箱根新道が、次いで小田厚、西湘バイパス、東名が相次いで開通、インフラ整備が急ピッチで進捗。そして建設後50~60年が経過した今、財政が厳しい中で、それらの老朽化への対策が課題となっている。

・圏央道開通によるストック効果(詳しくはこちらからhttp://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/stock/stockeffect.html)は顕著であり、沿道への物流拠点や倉庫が急増、藤沢市などで観光収入が大幅増加。
・交通分野でもビッグデータの有効活用法を模索中。鎌倉市ではGPSから移動データを収集・分析。市内課金システムの詳細策定において利用予定。急ブレーキが多い地点をデータベース化し、原因の究明と対策に利用。ICTを積極活用し、限られた財源を有効且つ効率的に使用するよう努める必要がある。

小田原箱根商工会議所建設部会のプレゼンでは、県西地域が抱える問題・課題とそれへの対応策が説明されました。
〇問題・課題
・小田原は東名開通により交通の要衝からずれ始めた。今後新東名やリニアが整備されると陸の孤島化する。特に設計速度140㎞の新東名が完成すると、県西地域を素通りする車両が増える可能性がある。
・圏央道内は首都圏としてさらなる発展を遂げるが、圏央道外は独自の発展を模索すべき。
・箱根の雪害リスク。国道135号の高波リスク。
・箱根湯本の渋滞

〇対応策
・圏央道外の県西地域は山梨県や静岡県と連携・協調した地域づくりも模索すべき。(伊豆の水産物を県西地域で販売。静岡県内の多くの大病院の利用など)
・伊豆湘南道路(※1)の早期実現を目指す(今夏の台風12号による高波被害を受け、災害対策としても整備を求める議論が再び活発化しているとのこと)※1 小田原-真鶴-湯河原-熱海-函南-三島-沼津のルート。小田原~沼津間の所要時間が約80分から約40分に短縮される見込み。

・箱根湯本の渋滞対策はトンネルなどインフラ整備以外では、パーク&ライドの普及を目指すこと。鈴廣さんが風祭で実際に無料駐車サービスを提供中。

感想としては、人口減少・若者の車離れ・高齢者の免許返納増加が見込まれ、インバウンドも受け入れキャパとしては一旦飽和状態に近いともされる中で、箱根町内の渋滞問題は将来的に解消方向に向かうものと予想され、巨額のインフラ整備は将来に禍根を残すものになりかねないと思われます。また、小田急や新幹線など公共交通機関の利便性の高さを勘案すれば、県西地域の観光は公共交通を十分に売りにでき、プレゼン等でも意見の出たパーク&ライドの普及を図ることによって、渋滞解消と一段の観光振興も狙い得ると思われます。

伊豆湘南道路は135号の渋滞解消にも一役買うし、災害対応においても大きな効果が期待されます。地元住民としては足柄下郡の活性化のためにも是非とも実現して欲しいものです。

圏央道外の県西地域として静岡県や山梨県との連携強化を模索すべしとの考えが披露されましたが、それはそれで展開するとしても、観光や経済面でメインターゲットとすべきはやはり東京でしょう。人口でみても静岡県と山梨県合計で約450万人に対して、東京・横浜・川崎だけで1,900万人、日本最大のマーケットからいかに稼ぐかに尽きると思います。

最後に、足柄上地域に関しては、西湘バイパスと東名大井松田ICを結ぶ高速道路と小田原市内の酒匂川右岸を南北に走る幹線道路の構想が掲げられておりました。勿論利便性は向上しますが、一般道で渋滞も見られぬこと、高速道路ができると市内を素通りされてしまうリスクも勘案すれば貴重なお金の使い道としては多少疑問も感じます。