元旦付けの神奈川新聞に“県内市町村の高齢化率と財政力指数のランキング”が掲載されておりました。同紙は今年、新企画“データで見る神奈川”を開始、「データを基に県内33の市町村それぞれの地域課題を明らかにしていく」とのことです。高齢化率と財政力指数、その相関関係を含め興味を覚えたのでデータを探り、開成町の課題についてもあらためて整理してみました。
○高齢化率 (65歳以上の人口が総人口に占める割合)
データ詳細は添付ファイル(神奈川県市町村 高齢化率 財政力指数)の通りですが、高齢化率のランキングは、1位は川崎市 20.00%、33位は湯河原町 41.31%。平均は24.9%(平成30年1月1日現在。こちらの県HPより。データファイルはこちら神奈川県 平成30年統計表 概要参考表)。
地域別にみると横須賀・三浦地域が31.6%、県西地域が31.1%と平均を押し上げ、横浜市と川崎市など比較的大きな市が平均を下回っています。人口が増加している地域は概して低く、その逆も真なり(※1)、との傾向が見て取れます。
○開成町の人口構成
開成町の高齢化率は25.73%で県内10位。県の平均よりは高いですが、比較的若い町であることは確かです。平成22年に開校した町立開成南小学校の人気と、平成11年から27年までに及んだ南部地区土地区画整理事業の成功により、県西では唯一人口が増加中であることが主因と考えられ、前述の指摘(※1)と合致します。
ただ、年齢別人口に関する開成町の最大の特色は、”年少人口(0~14歳)の比率が15.2%と県内で最も高いこと”にあります。
年少人口比率が最も高いにもかかわらず、高齢化率は県の平均よりも高い、ということは?”生産年齢人口(15~64歳。以下“現役世代”)の比率が県内では比較的低い”ということが言えます。具体的にその比率は59.1%と、県西地域では小田原市、大井町についで3番目に高い数字ですが、県の平均62.8%よりはかなり低く、順位は18位です。
○開成町の課題
町の自主財源確保のために、住民税の納税者となり得る”現役世代の人口をいかに増やし、比率をいかに上げるか”が自ずと課題のひとつになります。その課題を克服するための現実的なアイディアとしては、
①企業誘致: 職場が近い方が人が集まることは感覚的のみならず、横浜・川崎以外に圏央道開通などで発展する県央地域で現役世代の人口比率が高いことなどからも示唆されております。アジア諸国も競争相手となったグローバル化の進展や、国内の労働力確保の問題など、環境は厳しいですが、法人税収入を含めた将来の財源確保のためにも必死で取り組まなければなりません。
②サテライトオフィス、シェアオフィスの誘致:働き方改革が進捗する中で、首都圏への通勤圏にある開成町には一定程度のニース゛があるか、発掘できるものと考えます。
③通勤や通学の補助制度の導入:単なるばらまきでは財源確保や財政健全化の目的に逆行してしまうため、移住者であることや所得制限、補助期間を限定するなど、中長期的にみた移住・定住によるトータルの効果が得られる条件が付与される必要があります。
④保育環境の整備:労働力として一段と期待が高まる女性の就労・起業を支援する一環として、保育環境の充実は一層重要性が増すと考えられます。本年10月の消費増税を機に始まる幼児教育・保育の無償化に伴い、入園希望者が増加する可能性が高いことも整備に注力すべきと考える一因です。
⑤外国人との共生・融和へ向けた取組みに着手:現時点ではまだ唐突感があることは、居住者である私自身も否定はしませんが、日本全国で外国人労働者や居住者の増加が確実視される中、遠くない将来、いずれの自治体でも直面する課題だと思います。先の入管法改正に伴う外国人労働者の受け入れ増加において、政府は地方での就労を後押しする方針を打ち出したことからしても、開成町が直面する時期も思いの外早いかも知れません。
年初から小難しく長くなってしまいました。悪しからずご了承ください。財政力指数と高齢化率と財政力指数の関係等については次回以降、掲載させていただく予定です。