シンポジウム”日本とスウェーデン ソーシャルイノベーションの試験台として”(スウェーデン大使館主催。総務省、厚労省他後援)、その2です。
事例発表4: 複数自治体連携型 大規模健幸ポイントプロジェクト(筑波大院 人間総合科学研究科 久野譜也先生)
要旨は以下の通り。
・日本の健康寿命は世界一。それでも、8~12年の虚弱・寝たきり期間がある。人生100年時代に向かって、この期間は伸びる可能性あり。健康寿命の延長が重要な課題。
・調査結果では、歩数と医療費は完全に反比例。
一日あたりの歩数①5000歩以下、②5000~9999歩、③10000歩以上で分けると、1年間の医療費は55歳で①99千円、②74千円、③41千円、75歳で①400千円、②375千円、③341千円。
・WTOによれば、死因は多い方から1.高血圧、2.たばこ、3.糖尿病、4.運動不足、5.肥満
以上の結果から、健康寿命の延長≒医療費削減は、いかに運動するか/させるかが重要になってくる。
・健康への取り組みへのモニター募集において付与するインセンティブについて。これまで50ほどの自治体における実証データによれば、500円/月は少な過ぎ、10,000円/月は何か特別な効果などが期待されてしまうのではとの一種の恐怖感が勝るため、高過ぎる。当地の特産品も食べ飽きているため効果薄。健康器具もそもそも運動不足の方には興味低い。2,000~3,000円/月が適当との結論。域内商店街の商品券として付与した場合、最も売れるのは運動靴。
・健康への取り組みに関心があるのは全体の30%。70%はそもそも興味がない。この無関心層にいかにreachするかがカギ。30%に普及するまで取り組みは順調に伸びていくが、ことごとく頭打ちとなる。無関心層へのアプローチは1.インセンティブ、2.コミュニティの中での口コミ。
・東京、大阪、名古屋で日頃の交通手段における自家用車の比率と糖尿病患者の比率を調査・分析したところ、正の相関関係を確認。
健康寿命の延長には高齢者が運動する、働くことが特効薬との結論。
※感想: (少子)高齢化の進行に関し、社会保障費負担増や労働力不足、孤立、見守りなど様々な課題がある。”高齢者”も長寿命化により、その範囲が65歳から100歳以上の方まで拡大方向で、一括りにはし難くなってくるが、これら課題の克服には労働や運動が非常に重要であることを再認識した。
前述の歩数と医療費との関係や、自家用車利用比率と糖尿病感謝比率の関係などを見ると、便利過ぎるのもトータルでは問題であり、歩いていただく仕掛け・仕組みがより重要となりそう。歩き易い町づくりや自転車の利用し易い町づくりの視点がより必要になってきそう。(買い物難民などは当然別の視点で対応が必要ではありますが)