シンポジウム”日本とスウェーデン ソーシャルイノベーションの試験台として”(スウェーデン大使館主催。総務省、厚労省他後援)に出席してきました。
外交関係樹立150周年記念イベントの一環。高齢者や障がい者のケア分野での両国の取り組み事例を発表し、ソーシャルイノベーション(社会問題に対する革新的な解決法)を考えるもの。
スウェーデンは高負担高福祉の国で有名だが、制度的に日本と大きく異なる点が多いことから(※1)、その取り組み等を単純に比較・参考にはできない。しかし、この日の発表事例は、ご存じの方にとっては今更の内容であったと思われるが、私には目から鱗、非常に勉強になるものがいくつかあった。
(※1)スウェーデン~消費税率:25%(食料等は6%)、学費:大学まで無料、医療費:18歳まで無料、国民負担率:59%(日本43%)、専業主婦:2%(日本38%)、出生率:1.88人
発表事例1:長野企業局 水道利用状況による高齢者の見守り(詳しくはこちら)
・昨年7月 坂城町で実証実験開始。
・毎朝、水道を使用すると”元気メール”が、8時間使用なしもしくは2時間継続使用で”異変メール”が登録メールアドレス宛てに配信される。
・家族からの依頼に基づき民生委員もしくは社協職員が訪問。
・利用者負担は970円/月。町負担1,350円/月。機器設置費用27,100円は企業局が負担。
※検針員が声掛けなどで安否確認する実例は知っていたが、専用の機器を設置したシステム対応は初めて目にした。費用対効果は見極めにくいが、別居の家族にしてみれば970円で一応の安心が買える、高くはないとの印象。
発表事例2:入間市 徘徊癖のある高齢者の爪にQRコード(詳しくはこちら)
・QRコードに電話番号と利用者の身元特定番号を記載。発見者は電話する必要あり。
・60名利用中。1年間で3件の発見あり。
・無料
・似た仕組みは多いが、目立つシールや名札は恥ずかしいとの声に応えたものとのこと。
・利用者が剥がしてしまうこと多いため、靴にはるものとキーホルダーも同時に配布。
発表事例3:(株)ユニファ。IoTやロボットを導入したスマート保育園構想(詳しくはこちら)
・IoT導入等により教育支援から健康管理までを効率化。職員の負担軽減、保護者の利便性向上と家族のコミュニケーション創造)
・写真事務の自動化。専用端末で撮影、アプリに指導転送。職員は貼り出しや集金の手間なし。保護者も端末から発注。写真代金からシステム使用料拠出、保育園の負担ゼロ。顔認証ソフト導入で検索も容易に。全国で1,800園利用中。
・ロボットによる健康管理。3秒で検温。データ蓄積により体調異変等の検知に役立てる試み。
・園児の寝ている姿勢をセンサーでモニター。うつ伏せ状態になると警告を発する。年100件程度起きている突然死(SIDS。Sudden infant death syndrome)を根絶する目的。職員がこれまで5分毎に監視し、手書きのメモを作成していた手間が省ける。
※写真事務の自動化、みんなHappy!ですね。
※データの蓄積と活用、あらゆる分野で有効ですね。官民問わず適用分野を探り出し、生産性の向上やコスト削減、労働力不足の補完などを図る時代ですね。
続きはまた明日。