「活用なき学問は無学に等しい」、これは福沢諭吉先生のお言葉です。

○”福沢諭吉記念文明塾”なるものがあります。
一言で言えば、現代社会の課題の解決に向けて学び、具体的に実践していくことを目指した塾です。(ホームページはこちらから)。ホームページの説明では、「環境問題や教育問題など、日本や世界の抱える多くの課題を解決したい、そのためにあらためて勉強したい、という思いを抱く学生や社会人を対象に9年前に発足。学生、社会人が一緒になって、お互いに学び合い、またその学び合いを通じて「文明」すなわち「人の智徳の進歩」について深く考える場を提供するものです」。

慶應大学在校生・卒業生以外でもどなたでも参加できます。4~7月と10~12月の週2回開講、受講料はなし、運営費としてひとり35000円。
実際に様々な社会課題の解決のための”活動”が展開されております。私も先日、まちづくりに若年層の声を反映させる仕組みづくりを研究中の方々にお会いしました。まったく関係のないお仕事をしながら参加されている方々だけあって、非常に前向きで積極的であるとの印象でした。「活用なき学問は無学に等しい」とのお言葉通り、学んだことを実際の社会でいかに活用するか!真剣でした。

○活動事例をふたつ
ひとつは今学期生(19期)からの提言。(詳しくはこちらから)
なんと与えられたテーマが「神奈川県県西地域について、社会課題を発見・定義し、その解決策を提言すること。但し、観光以外」、私の住む地域が対象になってました!(因みに前期は白馬村の活性化、前々期は難病であったようです)。

7グループに分かれて、小田原市の高齢者の買い物ニーズの解決、真鶴町の未来を担う”人財”育成事業、地域づくり担い手創出プログラム(開成町)などの提言がなされておりました。今後、現実的な事業に発展していけるかは、過去の事例などを見ても、テーマや課題の内容・メンバーの事業・コスト等々に因る、と言えそうですが、かなり具体的で今後の進捗が期待できそうだったのが「高齢化する湯河原町での”幸齢社会”推進に向けた提言」でした。

ビジョンとして、①高齢者の能力を活かす場をつくる、②高齢者の健康を増進する場をつくる、③高齢者のモビリティを高め、住みやすい町をつくるを掲げ、具体的に、行政とは独立した事業主体としてNPO法人を設立、上記①と②の実現のために幸齢ポイント事業を運営、③の実現のためにモビリティ事業を運営することを提案しております。収支計画や見込まれる経済的な効果(7.5百万円程度の医療費削減)、今後のスケジュール(工程表)もしっかり作成されており、具体性を強く感じました。恐らく”2枚以内にまとめること”が条件のようで、実際にはより詳細にわたる課題認識、計画や試算の内容があると思われます。

もちろん、”課題解決のための取り組みに対する課題”が出てくると思いますが(行政や民間企業との調整、現地での事業の担い手確保等々)、地元行政や住民にとっては非常に参考になり、課題解決に活かし得ることは間違いないかと思います。また、アイディアとしては高齢化率のより高い地域ならどこでも参考になると思います。

開成町においても、人口こそ増え続けているものの、少子高齢化は近隣自治体と同様に進行中であり、共通の課題は少なくないことから、町外の方々から様々な提言をしてもらえるネットワークづくりが大事だと思います。大学もますます集中する東京から1時間のアクセス圏にある優位性も発揮し、地方創生などについて学ぶ大学・学部のフィールドワーク(※1)の場としても活用される可能性は高いと思います。

※1:フィールドワーク(英: field work)は、ある調査対象について学術研究をする際に、そのテーマに即した場所(現地)を実際に訪れ、その対象を直接観察し、関係者には聞き取り調査やアンケート調査を行い、そして現地での史料・資料の採取を行うなど、学術的に客観的な成果を挙げるための調査技法である。(wikipediaより)