「活用なき学問は無学に等しい」、これは福沢諭吉先生のお言葉です。

前回の続きとしまして、”福沢諭吉記念文明塾”の活動事例のふたつめです。ひとつめは今学期、7月まで学ばれていた方々の提言でしたが、ふたつめは過去の修了生らによる実際の活動についてです。

「プログラム修了後が本番!」と言い切っていることを裏付けるように、以下のような具体的な活動が実践されております。
・本をきっかけとして知的な空間を創ることで考える楽しさを体感する人たちを増やすことを狙った社団法人「本の宇宙」の設立(HPはこちらから)。被災地の高校図書館などへ5000冊以上の本を寄贈等々、展開中。

・環境と経済のつながりをテーマに展開されるゲーム「Logy&Nomy(通称ロジノミー)」を考案。「総合的な学習の時間」の授業に活用されており、都内および近隣圏中学校・高校中心に出張授業多数、教員向けワークショップにも採用 (詳しくはこちらから)。
・「よすが結婚相談所」を銀座で創業(HPはこちらから)現代日本における未婚化を解決するため、「従来の伝統的な性別分業の枠にとらわれず、お互いの長所を活かして協力し合いながら家庭を築いていく夫婦」という新たなコンセプトで運営中。

・そして、私が最も興味を覚えたのが“NPO法人 SAMURAI MEETUPS”です。(HPはこちらから)
訪日外国人が増加の一途の中で、あえてそこに課題を発見。①10人に7人の外国人が日本に来て満足した旅をできていない、②観光の担い手である地域のヒトの減少が止まらない、③日本人の幸福度は世界的に低いことを課題として認識し、「インバウンド誘致・観光まちづくり・キャリア教育を通じて日本社会の幸福度を高めていくこと」をビジョンに掲げ、訪日外国人向けの情報発信や体験コンテンツの企画を展開中です。
実績としては、ツアー開催数は31回、参加者数は延べ536名27ヶ国。3名限定の江戸寿司職人が案内する築地市場ツアーから、60名規模の屋形船東京湾ツアーまで、幅広くツアーを開催。今後は、より多様な旅行ニーズに応えるべく、きき酒師が案内する酒蔵見学プレミアムツアー、100名で座禅を組むZEN100ツアー、日本遺産を巡るツアー等、価格・規模・地域をさらに広げてツアーを展開予定、とのことです。

“Meet up = 1.共通の趣味などを持つ人の集まり、会合、2. オフ会。主にインターネットのSNSなどを通じて呼び掛けを行う会合”を法人名としていることが示す通り、イベント企画においては訪日外国人が日本文化を体験を通じて深く学べることと、現地の日本人との交流を図ることが出来ることを重視し、単に外国人旅行者の数を増やすことだけを目的とせず、”日本人の幸福度を高めること”も同時に追求している点が非常に興味深いです。

所謂定番の観光ツアーもありますが、多様なニーズに応えんとする手作り感もあります。このNPOの企画に参加する外国人は、必ずしもそこが”観光地”ではなくても、”本物”の何かがあれば行きたいとする向きが多そうです。開成町の観光資源”あじさい+田園風景+古民家+酒蔵+富士山”も、マス向けの商品としてだけでなく、それぞれのパーツが外国人の多様なニーズにマッチする可能性は十分にあると思われ、このSAMURAI MEETUPSのユーザーは潜在的な優良顧客であるようにも思えます。

そのニーズを実際に取り込むためには、町外に向けて感度の良いアンテナを張り巡らし、有効な手段で宣伝・発信をし続けると同時に、町内では多言語表記・案内・対応、さらには公共LANの整備などに取り組むことが不可欠です。