夏の甲子園、記念の100回大会は大阪桐蔭高校の史上初2度目の春夏連覇で幕を閉じました。その偉業達成にも関わらず、大会の話題・人気をさらい、日本人の心を鷲掴みにしたのは秋田県立金足農業高校でした。

全国の私立強豪校が他の都道府県から有力選手をスカウトして集める中、秋田県内出身者だけで戦い抜き、強豪校を撃破する姿に多くの日本人が感動しました。

他県からの特待生については、それまでは黙認していた全国高校野球連盟(高野連)が平成19年、公認すると同時に1学年あたり5名以下との努力義務を課しました。各校が高野連に届け出、自主ルールの下で運営しており、それ自体は問題なく、非難されるものではありません。

日本農業新聞の号外が出たり、秋田県のアンテナショップの売り上げが急増したり、ローソンと共同開発した”期間限定 金農パンケーキ”の再販売が急きょ決まったりと、社会現象と化しました。

プロ注目の吉田投手の実力に因るところは非常に大きいとは思うものの、”日本一厳しい練習”を自負する”雑草軍団”の快挙には心から拍手を送りたいと思います。”やればできる”という生きた教科書として今後も語り継がれていくでしょう。

最も感動したのは、高橋祐輔選手の高校で初ホームラン。甲子園で、横浜高校のエースから、あの場面で、初球のあの球を・・・神がかり的です。
校歌の全力斉唱にも驚きました。全員が格好つけるそぶりはまるでなく、あの一体感はどうやって育まれたか興味があります。

一方の大阪桐蔭高校、春夏通算8度の全国制覇を誇る名門校ですが、1988年の創部当時は選手集めに相当苦労された、との監督談を以前聞きました。『全国の中学やクラブチームを回ったが、話も聞いてくれないところが多かった』と。それぞれがそれぞれのご苦労をされて今があると言うことだと思います。

最後に、今回のカナノウを見て、私の大学3年生当時のチームを思い出しました。チームの一員として変な言い方ではありますが、私の人生の中で一番”好きな”チームでした。主将とエースがともに2浪、4番も1浪・・・特待生制度もない中で、甲子園組を集める法政大や明治大に立ち向う姿がカナノウに重なりました。

時代は変わりますし、それを受け入れることが大事ですが、懐かしいよい思い出です。もう厳しい練習に耐えられる体力はありませんが、気持ちは前向きに、頑張っていきたいです。