8/28(火)日経新聞朝刊「東京圏から移住 最大300万円補助 ~政府、一極集中是正へ新制度検討~」との記事が目に飛び込んできました。
○検討される新制度の概要
平成の大合併も一段落つき、地方分権に関する議論・話題も、正にこの人もお金も東京に集中する流れが止まらないことなどに、近時あまり聞かれなくなった中、久しぶりの”是正”に対する取り組みとの印象を受けました。
検討される新制度の概要は、
・東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)から地方への移住者に最大300万円を補助。2019年度予算の概算要求に盛り込む。国と地方自治体が折半。
・東京圏以外での起業に最大300万円、中小企業への転職に最大100万円。
国の均衡ある発展のため、大都市圏以外の人口減少や経済的疲弊に歯止めをかけるため、出生率の比較的低い大都市圏から地方回帰による全体的な出生率改善への期待、大都市圏での待機児童問題や介護難民への懸念への対応等々、やはり大都市集中の是正は重要な課題だと思います。
○神奈川県西部地区は東京圏?
この補助金の対象自治体ですが、総務省 地域おこし協力隊員などの地域要件と同様に、”特別地方交付税措置に係る地域要件(確認票はこちらから)”を決められると想定されます。私の住む開成町を含む足柄上郡5町に関しては、山北町が”一部条件不利地域”に指定されている以外は、要件を満たしておらず、東京圏内の都市地域に区分され、補助金の対象外になってしまうものと推測されます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位)における2015年から2045年にかけての人口増減率は以下の通りとなっております(▲は減少)。
神奈川県西部: 足柄上郡 ▲26.6%、小田原市 ▲24.5%、南足柄市 ▲26.9%、足柄下郡 ▲43.4%
全国平均 ▲16.3%、神奈川県 ▲8.9%、東京都 +0.7%、埼玉県 ▲10.2%、千葉県 ▲12.2%
東京圏近郊の各市: 水戸市▲11.7%、高崎市▲12.3%、甲府市▲24.0%、長野市▲16.4%、静岡市▲19.5%、三島市▲22.8%、熱海市▲43.3%、沼津市▲31.5%
ご覧の通り、神奈川県西部は著しい人口減少が見込まれており、一極集中する”東京圏”に括られるには何事においても厳しい状況下にあります。例えば、今回検討される補助金の新制度に関しても、転入者には補助金が出ないばかりか、転出者に補助金が出ることになります。
まずは、要件の見直しを求める活動が必要だと思います。同時に、その不利な分を克服するための一層の自助努力に励まなければなりません。国全体の人口、中でも生産者年齢人口が減少過程にある中で非常に厳しく、易しい課題ではありません。発想としては、岡山県美作市の外国人3000人構想など現時点ではまだ突飛とされるアイディアや、女性の就労支援や農による移住策などおいてかなり思い切った政策が必要になってくると思われます。