先日、”地域おこし研究員”(以下”研究員”)の説明会に参加しました。慶應大学大学院 政策・メディア研究科(以下”大学院”)と各自治体が連携して地域おこしを推進するプログラムであり、制度内容や実際の取り組み事例などを聞いてまいりました。

○活動目的
その活動の目的は、社会課題の解決等を通じた地域の活性化などにあり、総務省の制度”地域おこし協力隊”と同様です。経費を自治体が負担すること、大学院での指導・支援を受けながら活動できるなどの特色・違いがあります。(くわしくはこちらから)

大学院側は、”社会課題の解決において、個人や特定の組織の利益(個益)と公益が相反するものと捉えるアプローチでは限界がある”との認識の下、”事業センスと公益センスと兼ね備え、持続性のある、生産性の高い社会を実現する人材”の育成を目指しています。

○稼働中・募集中の自治体
既に研究員を採用し活動が始まっている、もしくは研究員を募集中しているのは、広島県神石高原町や鹿児島県長島町、新潟県三条市など10自治体。自治体以外でも、鹿児島相互信用金庫は社員が研究員となり、社内に”地域おこし研究所”を創設し、地域の課題解決にあたるという先進的な取り組み事例もありました。
活動内容の例としては、公立高校の魅力向上、野球やバスケットボール、ラグビーなど特定のスポーツを活用したまちづくり、地域メディア・番組制作への住民参加と地域おこし、半農半X(農業とその他の活動)による収入確保と地域貢献 など。基本的には活動の分野や目的を自治体側が事前に指定し、希望者を募る格好です。
○報酬
報酬はおおよそ年200~250万円。コストを負担してこの制度を活用する自治体には、地域おこし協力隊に対するものと同じ期待に加えて、この大学院による指導や支援、ネットワークへの期待があるものと考えられます。地域おこし協力隊は、国が経費を負担する点、活動内容も赴任当初は明確でないケースもあるとされる点においては対照的と言えます。

実績が伴ってくれば、採用する自治体も増え、他大学も研究の成果などを”現場で活かす仕組みづくり”として同様の制度に参入してくる可能性もあるでしょう。また、総務省の地域おこし協力隊の派遣対象外の自治体においても、採用を検討するような動きがでてくるかもしれません。この制度の有効性や将来性を見極めるべく、今後の展開を注視していきたいと思います。