「秩父市は豊島区民を対象にした”サービス付き高齢者向け住宅”を整備へ」、9/12(水)、両自治体から発表されました(記者会見用資料はこちらから)。
姉妹都市関係にある両自治体。豊島区は、都市の過密や高齢化という課題を抱える中で、区民のライフスタイルの選択肢を拡げ、第二の人生を後押ししたいとの考えがあった。一方、秩父市は人口減少という課題を抱える中で、生涯活躍のまちづくり(都市部からの移住者が健康で活動的な生活を送れるとともに、医療・福祉等の地域ケアも整ったまちづくり。日本版CCRC)を目指していた。
これらを背景に、秩父市は”サービス付き高齢者向け住宅”を新築(20世帯分。家賃10万円以下の予定。市有地を賃貸、都内企業が建設・運営)、その隣に交流拠点施設も新築し、移住者受け入れの環境を整備する。豊島区も移住しても区の行政サービスを継続して受けられる優遇策を用意し、敬老祝い金など秩父市にない行政サービスの提供も検討する。
高齢層が平日は自然豊かな秩父で生活し、土日は豊島区で文化芸術イベントに参加するような「二地域居住」のモデルケースを目指し、人口を奪い合わない移住や交流を通じた「様々な地域との共生の仕組みづくり」に今後も取り組むとしています。
秩父市の狙いは定住・交流・関係人口の増加、消費の拡大、移住者の地域活動への参加や就労による地域活性化にありましょう。雇用の増加も期待
できるかもしれませんが、介護分野では依然人手不足が深刻であることは都市部も地方も変わらないでしょう(2017年 有効求人倍率3.6倍)。
高齢者向け住宅の運営や交流拠点施設の指定管理事業者は都内の企業が担うようです。実績を誇り、ノウハウを持つが故のことと承知はしつつも、事業の一部だけでも地元の企業が参入し、地域の経済的な循環につながることが望ましいと思います。
”賃貸”による移住は”土地・家の購入”による移住よりは決断を促し易い点でベターかと思います。都内の住居を保有している場合は賃貸に出すなどして、もし戻りたくなってしまったら戻るという選択肢を残してもよいと思います。
”二地域居住”のモデルとなり得るか注目されます。この両自治体の場合は昭和56年に姉妹都市で提携を開始して以来、長年にわたり交流を続け、様々な調査分析をした上で今回の取り組みに至っているため、どこでもそのまま適用できるわけではありません。それでも、都心から1時間程度にある点で共通している神奈川県西地域にとって、参考にできる点は多くあるでしょう。
アクティブシニアが地元の人々や地域に馴染めるか、家族などの交流人口がどの程度増えるか、行政の財政的負担への影響はどの程度かなどに注目して見ていきたいです。