先日、開成駅で川崎市在住の知人にばったり、『小田原市成田に行くために、開成駅からカーシェアを利用』とのこと。言われみて、駅前駐車場にカーシェアリング(Times Car PLUS)用の自動車が1台あったことを思い出しました。

多くの分野で”シェアリング”が活発化しておりますが、開成町におけるシェアリングエコノミーはどうなっているか?自動車と自転車に限って簡単に調べてみました。

○自動車
まず日本全体の市場規模ですが、業界上位3社(Times Car PLUS、オリックス、カレコ)の公表データなどから、利用者は現在120~130万人、参入企業の増加もあり増加傾向にあるとのこと。因みにトップのTimes Car PLUSはステーション数 約1万ケ所、車両数約2万台。

足柄上郡には小田急開成駅と新松田駅に1ケ所・1台ずつのみでした。急行が停まり、JR御殿場線にも連絡がある新松田駅でも1台ということは、開成駅に急行が停車するようになっても、需要が即増えるということもなさそう、と予想されます。

県西地区で見ると、小田原駅周辺に13のステーションが集中。世界の観光地・箱根町ですら小田急箱根湯本駅に2ケ所・5台しかなく、南足柄市や湯河原町にはステーションがまだない状態でした。日本全体で”シェアリング”の文化が拡がる余地はまだまだあると思われますが、現時点では各圏域の交通の要所以外では拠点の設置は進み難いか?と思われます。

○自転車
昨年「自転車活用推進法」が施行され、インバウンド対応・公害対策・混雑緩和・健康増進・通勤や外回り営業、買い物における利便性などに資することから都市部を中心に拠点が急増中です。

ただ、一気に市場が拡大し、参入業者が後を絶たず(※1)、早々に過当競争の域に達している可能性もありそうです。実際、DMM社は参入表明後、断念するなど、競争激化を回避する動きも見られました。※1:NTTドコモ、ソフトバンク、メルカリ、LINE、ヤフー、アパマングループなどが参入。

さて、開成町ですが開成駅になんと11台もの自転車が用意されております!直観的に民間のビジネスベースでは採算が厳しいのでは?と感じられました。

更に足柄上郡内では新松田駅前に4台、山北駅前に8台用意されておりました。その知人からの情報を基に調べていくと、実際の運営はNTTドコモ傘下の“ドコモ・バイクシェア“が行っているようですが、県西地域活性化プロジェクトの一環として県の事業でした(ホームページはこちらから)。開成町内や近隣市町でのイベント開催時には利用者を見かけるものの、通常の稼働率はあまり高くないように思われます。過去の町議会議事録によれば、実証実験との位置づけで、平成28年3月の開始後、約5ケ月間の利用は約40件とのことでした。古いデータですが、仮にこの実績値を基にすると、1ケ月間の利用は1台あたり1回未満とまだ限られた利用にとどまっている模様です。

実証実験ですから、その結果を踏まえ、今後、台数や料金設定などが見直されることになるでしょう。町の貴重な観光資源でもある酒匂川サイクリングコースの利用増を促す仕掛けや、インバウンド需要の取り込みなどを図れば、多少なりとも利用は増えるとは思います。

運営において人件費がかからないため、収支の改善は意外と(感覚的な表現で恐縮ですが)難しくないかも知れません。あくまで試算ですが、初期投資は一旦無視し、10万円の電動自転車を法定耐用年数2年で償却するとした場合、1年間で5万円=1ケ月あたりで約4000円の収入で収支は均衡。1日の利用料金1000円の場合、1ケ月間に4回利用されれば元は取れる計算になります。

最後に今後開成町でも取り組んでみたい”期間の若干長い自転車のシェアリング”について触れたいと思います。大学院のクラスメイトである茨城県古河市の職員さんから教えていただいた彼自身が考案した取り組み”三人乗り自転車の貸出し”です(詳しくはこちらの同市ホームページから)。概要は、
・対象: 満1歳以上6歳未満の乳幼児を2人以上養育する保護者
貸出期間: 1年間
車種と料金: 3人乗り自転車(電動アシストタイプもしくは3段ギア付タイプ)
・その他: 子ども用ヘルメット(2人分)を無料で貸出。

子ども3人を抱える我が家も実体験者ですが、3人乗りは2人乗り?よりは高価であるが、真に必要な期間は実はそれほど長くはなく、上の子どもが自分で乗れるようになれば必ずしも3人乗りである必要はなくなります。

子育て支援の一環として、そのあたりの悩み・課題を解決し得る有効な一手だと考えられます。そして、購入や日常のメンテナンスは利便性の良い市内の自転車屋さんを利用させていただくことで、交流も生まれるとの効果も期待したようです。

料金は古河市では電動9600円/年、ギア 6000円/円の設定としてますが、最終的には需要や町の予算と相談となるでしょう。開成町は概ね平らで急な坂道は少ないですが、一定の需要と取り組みの効果はあると思います。