在留外国人の増加傾向が続いております。われわれ一般国民も、地域差は勿論あるものの、主に労働力不足を補うために、この傾向は自然なものであるとの認識が高まりつつあるように感じます。

(法務省ホームページより)

一部で、外国人労働者への賃金差別や過重労働が問題化したり、”移民”や”移民政策”の定義に関する議論が活発化したりしておりますが、我が国の労働力不足が今後さらに深刻になることが確実視されることから、外国人労働者の数は当面増えることはあっても減ることはなく、他国と外国人労働者の奪い合いという競争にもさらされていることから、雇用条件の改善への圧力は強まるものと予想されます。

訪日外国人旅行者の数に関しても増加の一途です。有名観光スポットでの”混雑”が問題視されており、海外での規制・制限の事例紹介が紹介されたり、先日箱根町町長のお話を伺った際にも「受入れ可能な量に限界があり、今後は量より質を重視したい」との意向であったりと、一旦曲がり角に直面している可能性もあります。しかしながら、国内消費の伸び悩みから引き続きインバウンド需要の取り込みが重要課題であり、国際観光客数のランキングの低さ(2016年国別ランキング15位)からすれば、潜在的な伸びしろはまだあるものと思われます。

さて、この様な環境下、在留外国人の増加に伴う”新たな動き・展開”を報じる記事を相次いで目にしました。これらの先駆的な動きを見て、あらためて感じるところは、まだ居住者に占める外国人の比率が低い自治体でも(開成町は1%未満)、遠くない将来増加が顕著となる可能性は否定できず、教育や文化面で外国人との共生を図る取組みや、各種行政サービスや観光分野における多言語案内・発信・対応の充実に向けて今から準備しておく必要があるだろう、ということです。

〇組合員の1/3が外国人の労働組合結成(11/21付け朝日新聞)
中華料理屋「日高屋」を展開するハイデイ日高で、外国人労働者約3千人(組合員の約1/3)が加入する企業内労働組合が結成された。記事では「外国人の待遇改善をめざす動き」としております。(記事はこちらから)

〇外国人の「駆け込み寺」続々(11/19付け日経新聞)
外国人の生活支援のためのサービス提供をする新興企業が増加している。外国人が最も苦労するとされる住居手続き、銀行口座開設、携帯電話の契約におけるサポートや、医療機関での受診時の通訳仲介などに商機。(記事はこちらから)

私見としては、これらの外国人向けサービス業を展開する企業は早晩地方にも進出してくるか、既にしているところもあるでしょう。事業が成立するには最低限の市場規模(この場合は在留外国人の数)が必要になりますが、今後、全国的に”起業”における重要なテーマになるものと思います。

〇介護職に外国人。官民が環境整備。(11/28付け日経新聞)
介護業界での外国人受け入れ拡大に向けて、首都圏の自治体が環境整備に動いている。東京都は介護福祉士の養成学校に通う留学生に奨学金を支給、横浜市は留学生への家賃補助や日本語研修など実施。(記事はこちらから)

大幅な不足が見込まれる介護業界において、外国人も対象にした争奪戦が始まったとの印象です。