1月31日、「住民基本台帳に基づく2018年の人口移動報告」が総務省より公表されました(詳細はこちらの総務省HPから)

都道府県別で見ると転入が超過したのは以下の都府県(括弧内は転入者数)、“大都市圏”への流入が続いていることが確認されました。
東京都(79,844)、埼玉県(24,652)、神奈川県(23,483)、千葉県(11,889)、愛知県(3,112)、大阪府(2,388)、滋賀県(409)福岡県(2,889)。これら以外の道府県はすべて転出超過でした。

市町村別の詳細データはまだ一般には公表されておりませんが、2月1日付日経新聞等で確認できた限りでは、神奈川県の33市町村のうち転入超過の自治体は19、転出超過は14とのことです。

それぞれ上位5自治体は以下の通りです。
転入超過:横浜市、川崎市、藤沢市、茅ケ崎市、海老名市。
転出超過:横須賀市(▲1,352)、厚木市(▲800)、小田原市(▲312)、箱根町(▲282)、南足柄市(▲243)。

神奈川県全体では流入超過が続いているものの、県西地区に限って言えば残念ながら転出超過が続いていることが如実に示された格好です。より強い危機感を共有し、地域をあげてこの傾向に歯止めをかけられるよう取り組まなければならないことが再確認されました。

またやや意外であったのが厚木市の転出超過です。厚木市言えば、「2018年 共働き子育てしやすい街ランキング」で全国3位、災害対応力ランキング(人口10万人以上の全国289市区中)全国6位・神奈川県内1位を誇る自治体であり、圏央道開通の効果による“県央地域”の発展の恩恵も受けているものと思い込んでいました。

厚木市の人口の推移は、平成27年以降22万5千人台で概ね横ばいとなっておりましたが、直近1年間で500人超の減少となっておりました。転出先は目下勢いのある海老名市あたりか?と思いきや、地域経済分析システムRESASによれば(2017年のデータ)相模原市や横浜市、世田谷区、狛江市などが上位となっており、学生や企業関連での移動によるものとも推測されます。

考え方によっては前述のような子育て支援や災害対応力の強化がなければ、転出や人口減少はより著しくなっていた可能性もあり、“これだけで収まっていること”が評価されるべきなのかもしれません。

いずれにせよ全国の人口が減少し、大都市圏への移動がいまだ止まらない以上、その圏外にある自治体は一層の努力が求められていると言えましょう。もしくは、人口減少は諦めないまでも、ある程度受け入れることを前提とし、財源としては県や国に依存しながらも、独自のまちづくりの道を進むという選択肢もあるでしょう。

先進国では前例のない少子高齢・人口減少社会が進行する中、それぞれの自治体がそれぞれ非常に重要な局面・岐路に立たされているものと思います。