2月9日付け日経新聞総合面に「アパート投資、厳しい視線 ~地銀の融資 窓口閉めた~」との記事が掲載されておりました。
記事は、(株)レオパレス21の業績悪化に関連したものでしたが、「レオパレス21の不正発覚などによりアパート投資への不信感が拡がった」、「スルガ銀行の不正融資問題で金融機関がアパート融資に消極姿勢に転じた」とし、「相続税対策を担ってきたアパート投資を敬遠するオーナーが増える可能性がある」との懸念を示しています。
賃貸住宅への投資に関しては、平成27年に相続税が改正されたこと(基礎控除の減額や税率の一部引き上げなど)を受けて活発化したとされ、その活発化を後押ししたのが地方銀行による積極的な融資とされます。平成20年あたりから世の中の資金需要の低迷などに貸出残高は減少する一方で、預金残高は増加の一途となり、預貸率(貸出残高÷預金残高)が低下し続け、運用先を探していたところに、救世主が現れた格好と言えます。(いかにも元銀行員のような視点で申し訳ありません)
実際に、国内銀行の不動産業向け貸し出し残高は、昨年12月時点で約79兆円まで拡大し、過去最高額を4年続けて更新中です。ミニバブル状態にあった賃貸住宅市場に前述の通り、変調の兆しが見られる、ということになります。そもそもここ10年間、全国的には空き家数が増加し、空き家率が上昇している中で、賃貸住宅をはじめとする住宅建築着工件数が堅調に推移していたこと自体が、歪みを大きくしたとも言えましょう。
しかしながら、賃貸住宅市場の動向も結局は“地域による“と思われます。今回のレオパレスショックの影響をもろに受ける地域の方が多いでしょうが、”需要“が旺盛な地域では直接的なダメージを回避できる可能性もありましょう。開成町の場合は、町内の地区にもよりますが、現時点では概ね後者と考えられます。むしろ、3月からの小田急の急行停車によりその需要は一段と増し、不動産企業の営業スタンスも、他地域でのマイナスをカバーせんとして、一層集中・活発化する可能性がありましょう。市街化区域の土地保有者にしてみれば、相続税云々以前に、運用ニーズは常にある訳ですし。
”一層集中・活発化するかどうか”のカギは、金融機関からの融資が得られるかでしょう。金融庁が地方銀行による不動産向け過剰融資について調査を開始した中、ルールを守った健全な金融機関であっても暫くは積極姿勢は打ち出し難いと考えられます。因みに地元さがみ信金に関しては、平成28年9月から平成30年9月にかけて、不動産業向け融資は全体の16.1%から15.4%へ低下したものの、個人向け融資(住宅・消費等)は36.2%から40.1%へ大幅に上昇しています。賃貸住宅関連の融資がいずれに含まれているかは不明ながら、後者であると仮定すると、一段の積極化の余地は小さいとみるべきでしょうか(一個人の私見に過ぎませんが)。となると、どうなるか? 需要>供給となり、市場原理にのっとり、開成町圏内では賃料が上昇する可能性がある、と予想されます。