”官民連携と地域連携で実現する地方創生”と題するフォーラム(日経新聞主催)の第二弾です。要旨は以下の通り。すみません長くなってしまいました。
◎セッション3:スマート社会の創造と地方創生
○清水建設 LCL事業本部長
・Life Cycle Valuationとは、建物やインフラ、まちのライフサイクルに関して持続的な価値向上と多様化・高度化を実現させるための事業。
・公的施設や住居などの配置と道路の整備計画をシミュレーションして、各市町のそれぞれの将来のまちづくりプランする事業を展開中。
・大学のキャンパス(中部大と成蹊大)をひとつのまちに見たてて、将来の実際のまちづくりへの応用を図る目的で、省エネ・低炭素・セキュリティー・電源の自立・情報管理などのスマート化を試行的に実施中。
○”SDGsが加速する地方創生”をテーマにパネルディスカッション。
パネリストは内閣府地方創生推進事務局 遠藤参事官、長野県知事、北海道下川町長、つくば市長
・下川町長
『平成20年に環境モデル都市、平成23年に環境未来都市に選定; SDGsを平成31年スタートの総合計画に盛り込む; 住民からSDGs推進委員を選定予定』
・つくば市長
『資本の所有が豊さとの時代はもう終わり; SDGsマイスター制度を創設予定; 17の目標・169のターゲットすべてを市の計画に反映させる予定; 例えば、地元食材を30%以上使用しているレストランに補助金を交付、同時に市民に告知し、こども食堂などその他の事業とも優先的に連携させる仕組みを考案中』
※感想: SDGs、実はまだまだ認知度は低い。内閣府による全自治体アンケートでは、54%が知らない、63%が関心がない/分からない、65%が推進する予定はないと回答(詳しくはこちら)。その一方で、この日登場した自治体の取り組みはかなり進んでおり、二極化の様相。
SDGsとは?今更ながら整理してみると、
・2015年9月に国連で採択された国際社会共通の目標。
・2015年から2030年までの長期的な開発の指針
・以下の17の目標とその下に169の具体目標が設定されている。
目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8:すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9:レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10:国内および国家間の不平等を是正する
目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する。
目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する(詳しくはこちら)
国際社会の持続可能性を高める上で非常に重要であることは理解しつつも、環境や貧困問題と同時に経済成長や雇用をも追い求める点などに、やや欲張り過ぎで、理想を求めるハードルが高過ぎるとの印象もある。
目の前の現実的な課題の克服に手一杯の日本の基礎自治体の多くが、”関心がない”、”推進予定なし”としたことも無理もないと思われる。
内閣府は”SDGs未来都市を30カ所選定。提案を公募”とのこと”(詳しくはこちら)。官主導で補助金付与との仕組みは本当の意味での持続可能性を阻害する恐れもあるが、国際社会共通の目標であり、これはこれでやむを得ないのだろう。
そんな中で下川町やつくば市の先進性は称賛に値しよう。ひとえに首長の思いと先見性、リーダーシップのなせる業だろう。
個別事例で紹介された、SDGsアワードを受賞した台東区八名川小学校のESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みは素晴らしいです。持続可能な社会をつくる担い手の育成!一朝一夕にはいかないでしょうが、学ぶべき先駆事例ですね。(詳しくはこちら)