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過日、東洋大院にて、(一般財団法人)都市技術センターの上席主任研究員 深澤哲氏より講義をいただきました。テーマは「上下水道 経営課題と官民連携による解決可能性」。

同氏は、自称“スキーマ― Schemer 計画立案者”、これまでにコンサルタントとして、大阪市の下水道事業の全面包括委託の制度設計や、神奈川県箱根町の水道事業の包括委託化などに深く関与されてきました。

私がこれまでにお話を伺った中で、最も厳しく、辛辣な批評をされる講師でした。いい意味で歯に衣着ぬ物言いで、これまでのご経験で得られたご自身の結論を我々に伝授せんとする思いがひしひしと伝わってきました。

有収水量は2050年には2/3まで減少

講義内容は、水道事業が抱える課題を官民連携によっていかに解決していくか?でした。

まず、主たる課題は、
①施設の老朽化
②職員の高齢化と減少
③収入減少

特に③収入減少について、今更ながらですが、厳しい現実を突きつけられました。“説水危機の普及や人口減少等により、有収水量(料金徴収の対象となる水量)は2000年をピークに減少傾向。2050年頃にはピーク比2/3まで減少する見通し”とのことでした。

厚労省資料より

水道事業は独立採算であることから、老朽化が加速する施設の更新や耐震化に伴うコストが水道料金を押し上げる可能性は極めて高いと考えられます。

さらに、ちょうど社会保障制度において高齢者を支える現役世代の負担が重くなるのと同様に、人口減少によって、ひとりあたりの水道料金負担も重くなることが示唆されています。故に、コンパクト型のまちづくりが求められている次第です。

仮に、近い将来、出生率が2に跳ね上がったとしても、人口に反映されるのは20~30年後。移民政策の大転換でもない限り、人口が減ることは確実。長期的な視野にたった街づくりが重要性であることを再認識させられるデータでした。

PFIはダメ!

これらの課題を解決していくために、官民連携のいかなる手法が望ましいか?同氏の考えは非常に明確でした。

“コンセッションを含め、PFI(Private Finance Initiative。※1)はだめ。工数が多過ぎ、手間がかかり過ぎ。経済性を発現さえる余地が乏しく、どれだけ付加価値が乗せられるか甚だ疑問”とのお考えでした。

※コンセッションとは?こちらの内閣府サイトをご参照ください

※PFIとは?こちらの内閣府サイトをご参照ください

包括委託が最適

“有効な手法はDBO(※2)か包括委託。理由は経済性の発現への工夫が施されているため”。

“例えば、複数の浄水場を包括して管理すれば規模の経済が働き、ポンプ設備なども合わせて管理すればさらに範囲の経済が働く。さらに、単年度毎に入札を繰り返す手間も省け、長期間の契約となれば機関の経済も働く”との主旨でした。

※2:DBOとは?Design Build Operateの略。PFIに類似した事業方式。詳しくはこちらのサイトをご参照ください

公務員のインセンティブ

最後に、これまで非常に手厳しい指摘だったのですが、官民連携の前提として “公務員は業務への経済的なインセンティブを有していないことを認識すべき”とのご意見でした。

この点に関して、私は、時間はかかると思うものの、少しづつ変わっていくものと予想しています。

民間ではすでに年功序列や終身雇用が崩壊しています。様々な問題点があるとされるものの、ジョブ型の雇用が確実に拡がると考えられる中、この波はいずれは公務員の世界にも及び、成果・実力主義の考え方が人事評価に取り入れられてくるものとみます。

私がそうあるべきと思っているわけではなく、いずれ世の中が催促する、との見方です。

水道の話から若干逸れました。今回は以上です。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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