5月17日、愛知県の取水施設(明治用水頭首工)で大規模な漏水が発生しました。現地では、農業用水や工業用水が十分に供給されず、工場の稼働停止や田植えの先延ばしなどの事態に陥っています。

インフラ老朽化問題

こちらのブログで、“もうひとつの高齢化”と題して、インフラの老朽化問題を3回にわたって採りあげました(2月13日、14日、15日。以下のリンクをご参照ください)。今回の漏水も、設備の老朽化が原因とされています。あらためてこの問題の状況をおさらいしてみます。

今回の漏水は具体的に、水漏れを防ぐために川底に設置されたコンクリートや鉄板が劣化したことに因るとされます。この取水施設は完成から60年以上が経過、耐用年数である50年を大きく超えていました。

2012年に起きた中央道笹子トンネル事故を受け、様々なインフラ設備の老朽化対策が強化されたものの、昨年は和歌山市の水道橋が崩落するなど、まだまだ対応が追いついていない状況です。

財源不足

日経新聞の記事では、「市町村からは人も予算も足りない」との声を紹介しています。要は、点検体制を強化しているが人が足りない。社会保障費の膨張などに予算が足りない、といったところでしょう。

予算について、実際の数字で確認してみます。国の公共事業関連費の推移を見ると、1993年~2002年には10兆円を超えていたものの、以降は7~8兆円前後となっています。

財務省 「日本の財政関係資料 令和3年4月」より

歳出の内訳を1990年と2021年で比較してみます。
歳出総額は、1990年の66.2兆円から2021年には106.6兆円まで拡大しました。増加した40兆円のうち24兆円が社会保障費(11.6兆円→35.8兆円)、国債費が10兆円(14.3兆円→23.8兆円)を占めます。一方で、公共事業費は6.2兆円から6.1兆円に減額となっています。国の数字ではあるものの、地方自治体でも概ね同様の事態と考えられます。

財務省 「日本の財政関係資料 令和3年4月」より

国も自治体も、老朽化への対応が急務であるとの認識は間違いなくあるでしょうから、自治体間にはインフラが整備された時期や財政力に差はあるものの、全体として問題が先送りされ、リスクが増大していると言えます。

予防保全

2014年にすべての自治体に対して公共施設等総合管理計画の策定が要請され、取り組みが強化される中で、特に長期的なコスト削減の視点から、“予防保全”の重要性が見直されています。要は、ことが起きてから修復などの対応をする“事後保全”よりも、(耐用年数を待たずに)不具合が発生する前に対策を講じて長寿命化を図る方が結果的にコストは削減されるという考え方です。

財務省 「日本の財政関係資料 令和3年4月」より

実際に各自治体の計画策定においても、その比較検討がなされ、予防保全に取り組んでいる自治体もあると承知しています。ただ、いずれにしても財政力の差が影響せざるを得ず、国に頼るにしても先進国で最悪の天文学的な債務状況が支障となってくると思われます。

財務省 「日本の財政関係資料 令和3年4月」より

開成町では

わが開成町は、まちづくりの歴史的な経緯により、インフラの整備は全国的な平均よりは若干遅く、その分老朽化問題が本格化するのはまだこれからといった状況です。

具体的には、2017年時点で、上水道は更新年数40年を超えている施設が9%、下水道は更新年数50年を超えている施設はありません。ただ、上水道施設は20年後の2037年には65%が更新年数40年を超えます。大地震の影響も懸念される中、水道管が破裂するような事態がいつ起きないとも限りません。“予防保全”をいつ、どこまで進めるか、厳密には進められるかが問われる局面を迎えます。

下水道施設に関しては、30年後に約半分が更新年数50年を超えてきますが、少なくとも当面は、格別の措置を積極的に講じる必要はないものと思われます。

※開成町公共施設等総合管理計画はこちらから

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山神 ゆたか

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