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コロナ新規感染者数、沖縄県や広島県などが減少傾向となり、東京も依然高水準ですが、いったんピークを打ったか。ブースター接種はまだ10%程度ですが、横浜市では接種券なしでも接種できる方策を検討とのこと、接種が進むことを期待したいです。
さて、昨日の続きになります。人の高齢化以外のもうひとつの高齢化問題、すなわちインフラの老朽化の問題です。
最終回の今回は開成町のインフラについてみてみます。
小中学校は維持。校舎は多機能化。
・2015年当時の人口推計において、開成町の総人口が向こう20年間で約5%、40年間で約15%減少すると推計されています。そして、下表には掲載しておりませんが、年少人口(15歳未満)はそれぞれ約20%、約30%減少するとされています。
・開成小、開成南小、文命中はいずれも生徒数でみると、現在、文科省が適正とする規模を下回る可能性はあります。面積の狭い町であることからも小学校の統合の可能性はゼロではないものの、統合すると大き過ぎることとなり、地域的なバランスからも、少なくとも40年後もそのまま存続すると考えるのが妥当かと考えます。
・校舎は開成小が築50年、文命中が築46年と老朽化は進んでいますが、耐震補強し、大規模な改修が実施されたか、実施中です。
・ただ、いずれは建替えとなります。建替え時には、経費の削減や地域の拠点化、多世代交流などの視点から自治会の集会所機能など、その他の公共的な機能を併せ持ったり、図書館の地域開放など多機能化や複合化の発想が一層大事になると考えます。
幼稚園も多機能化・複合化
・町立幼稚園も基本的には維持と考えるのが妥当でしょう。ただ、20年後や40年後に保育と幼児教育がどのように位置づけられ、それぞれのニーズがどうなっているかは見通しが難しいです。
様々な可能性を踏まえつつ、自治体の負担軽減、教育法やカリキュラムの多様化や保育サービスの拡充などの視点から民営化もひとつの選択肢になると考えます。
・園舎は築47年で老朽化していますが、耐震補強と大規模改修は実施済み。開成小と文命中と同様にしかるべき時期に建て替えることになるでしょう。他の公共施設の機能を統合することは十分にあり得ると考えます。
公営住宅
・2018年に用途廃止した四ツ角団地は、財政的な課題はあると推測されますが、治安等の問題があることから、速やかに解体し、利活用ないし売却すべきでしょう。
・円通寺団地は築44年、耐震診断で一部に耐震性能が確保されているとの判断にいたらなかった部分もあることから何らかの対策が急務です。経費の削減や平準化等の視点を含め、公民連携による手法も活用した民営化や、国交省の“地域優良賃貸住宅制度”の活用も選択肢となりましょう。
・河原町団地は築42年、耐震診断では耐震性能は確保と判断されています。ただ、遠くない将来に円通寺団地と同様の対策が講じられる必要性が増すでしょう。
道路
・「開成町公共施設等総合管理計画」(2017年。リンクはこちら)では、町道59㎞のうち修繕が必要となる路線は全体の40%程度とされています。補助金等も踏まえた予算がつき次第、順次修繕が実施されているものと理解します。
・町では「町道舗装維持整備計画」を策定しているようですが、ホームページ等では公開されておらず、詳細は不明です。
橋
・開成町「橋梁長寿命化修繕計画」によれば(リンクはこちら)、町が管理する90の橋を点検した結果(2014~2018年度)、“早急に補修が望まれる橋は1つ”とのことです。ただ、架設年次が明らかな橋が12しかなく、そのうちのひとつ(鋼橋)は架設後70年以上が経過しているとされています。
・十文字橋に関しては、私が個人的に資料を集めた限りでは、一部の橋脚は1928年か1933年にできたものであると読み取れることから、約90年が経過している可能性があります。豪雨によって酒匂川の水嵩が増した場合のみならず、常に警戒が必要であると思われます。
上水道
・耐用年数40年を超える管路は、2017年時点で全体の約9%であり(「開成町公共施設等個別施設計画」はこちらから)、現在は20%程度まで増えているものと思われます。敷設時期の最初のピークが1985~1988年であることから、40年が経過する2025年以降、その比率は一段と上昇することになります。予防保全を含め、今後、一段の対策が必要となってきます。
下水道
・本格的な整備が始まったのが1983年頃であり、耐用年数50年とすれば、開成町では老朽化問題はまだ起きていないと考えられます。
ごみ焼却施設
・近い将来、1市5町での協議が本格化するものと思われますが、各施設の老朽化が進み、更新の時期が迫っています。南足柄市の施設は稼働後39年、足柄東部(大井町、松田町、中井町)は38年、足柄西部(山北町、開成町)は31年がそれぞれ経過しようとしています。
ごみ発電施設や廃熱利用も不可欠な時代であると認識しており、広域では目下の最重要課題であると言えるでしょう。
まとめとして
・長くなってしまい恐縮です。本来であれば、財政状況と合わせて論じ、お伝えすべきところです。国としては財政収支が改善せず、増税もなく、要は現状のままであれば、新規投資はおろか、更新すらままならない事態がやがて訪れるとされており、基礎自治体も概ね同様と考えるのが自然です。
・開成町の2017年当時の試算においても、向こう40年間のインフラ更新費用と過去の普通建設事業比の平均を比較すると、1年あたり0.5億円程度不足するとされています。
・予防保全によるライフサイクルコストの削減を図るとともに、施設の複合化や多機能化によって効率化を図り、民間の知恵と資金を最大限活用することが一層重要となるでしょう。広域でも連携は当然のこととして、コンパクトシティーによる機能の集約化と効率化を図る必要性が高まるものと考えます。
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先見と行動山神 ゆたか
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