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過日、自治会のボランティア組織「おたがいさまネット中家村」のサポーター研修会に参加しました。結成5年目をむかえた組織、“高齢や障がい、出産・育児などによりお困りごとがある方の日常生活を地域住民で支えていきましょう!”という人々の集まりです。
町介護福祉課の担当者から“地域での生活支援活動の意義と効果”について講義をいただいた際に、とても印象に残る話がありました。今回は、そのふたつめをお伝えします。
“介護保険料”の増加を抑えられる!
強く心に残った話のふたつめは、地域での生活支援によって“介護保険料”の増加を抑えられる!という話です。
介護保険料の仕組み
本題に入る前に、介護保険料の仕組みを簡単におさらいします。介護保険料は自治体によって異なります。自治体毎に異なる基準額(3年毎見直し)を基に、所得額に応じて段階的にそれぞれの負担額が分かれます。
開成町の介護保険料は?
開成町の現在の基準額は5,400円です(2021~2023年度)。全国平均6,014円よりは安く、県内33市町村の中では少ない方から13番目です(1位 大井町 4,800円、33位 横浜市 6,500円。全国1位 群馬県草津町 3,300円、最下位 東京都青ケ島村 9,800円)。
※厚労省「第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について」(都道府県、市町村別の保険料など)はこちらから
介護保険料は上昇中
介護保険料は高齢者の増加にも伴い、全国的に上昇の一途をたどっています。3年毎に改定されますが、全国平均と開成町の推移は以下の通りです。
全国平均: 第3期(2009~2011年度)4,090円→4,160円→4,972円→5,514円→5,869円→第8期(2021~2023年度)6,014円
開成町: 第4期(2012~2014年度)3,500円→5,150円→5,360円→第8期(2021~2023年度) 5,400円
今後も、2040年頃まで高齢者の数が増え続け、概ね比例して要介護認定者の数も増加が見込まれることから、介護給付額がふれ、それにも一部連動する介護保険料も自ずと引き上げられることが確実視されています。
『地域での生活支援によって“介護保険料”の増加を抑えられる!』と表現され、『減らせる』とまでは言えないのは、こういった事情によります。
それでも、『増加を抑えられる』とされるのはどういうことでしょうか?
27万円/1人・1年間も削減できる?!
介護保険料の基準額がどうやって決まるかというと、
① まず向こう3年間の介護給付額の見込みをたて、予算を組みます。
② 予算額の半分を公費で負担します(国25%、都道府県・市町村 各12.5%)
③ 予算額の27%を40~64歳の被保険者が負担します
④ 予算額の23%を65歳以上の被保険者が負担します。具体的には、“予算額の23%を65歳以上の被保険者の数で割った金額”が“基準額”になります。
よって、給付見込額が減れば、被保険者の負担額も減ることになります。
では、地域による支援によって、介護保険の利用が減った場合、どれくらいの効果があるのでしょうか?講義の中で例を挙げて説明いただきました。その額、驚きました。
要介護1の方が週1回、20分程度、ごみの仕分けからゴミ捨ての支援を介護保険で行った場合、ケアマネジメント料を含めて“1か月あたり22,244円、1年間で266,928円の経費がかかります。
この支援を地域、中家村自治会の場合は“おたがいさまネット中家村”のサポーターが行ったとすると、その約27万円の経費が削減されることになる!との話でした。
開成町の65歳以上の非保険者が負担している保険料の総額は約3億円。この1件で0.1%ですが全体としての負担が軽くなります。10件なら1%になります。
国家財政は先進国で断トツで最悪、社会保障制度もすでに制度疲労を起こし、現役世代からの仕送りも限界に達しつつあります。故に、国民年金の加入期間の延長(60歳まで→65歳まで)や介護保険の自己負担の引き上げ(1割→所得に応じて2割もしくは3割)が検討されています。
各市町村においても、この介護保険をはじめとする社会保障関連の経費を減らす(増加を少なくする)努力は欠かせません。特にこの介護保険の場合は、被保険者=住民の負担額にも直接影響してくるものであり、取り組む意義はより大きいです。
地域での生活支援活動は、助ける側の健康の維持増進にもつながるという“三方良し!(助けられる人、助ける人、自治体)”の取り組みです。
また、この生活支援活動がフレイル予防など自治会内での他の活動に波及する好循環も期待できます。町としても活動を全面的に支援するスタンスが肝要かと思います。
#聞きます #やります #やり遂げます
先見と行動山神 ゆたか
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