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過日、日経新聞朝刊に「全国2割、ごみ経費減らす」との記事が掲載されておりました。

要旨は、
・全国のごみ処理費は、2020年度、2.1兆円を突破した。ダイオキシン問題にも絡み、2001年に2.6兆円まで膨らんだ後、設備投資の一巡もあり、2012年にかけて1.8兆円まで減少。ただ、その後はリサイクル処理の増大などに増加し続けている。

・それでも、住民1人あたりのごみ処理経費でみると(2011年度と2020年度の比較)、2割の自治体が圧縮した。

圧縮できた主な要因として、広域連携や焼却施設の集約などが挙げられ、岡山県奈義町は1市4町による広域処理施設の稼働により、経費が実に74%減った。

また、北海道せなた町では、こども会による古紙回収などの取り組みの効果で51%減った。

ごみ問題の重要性

言わずもがなですが、ごみ問題は焼却時における温室効果ガスの排出やプラゴミによる環境汚染、廃熱等を利用した再生可能エネルギーの発電、そしてリサイクルや資源化などの関連で地球環境問題に直結する点で極めて重要な課題です。

また、自治体にとっては、高度経済成長期に建設したさまざまな公共施設の老朽化問題のひとつとして、設備更新のための投資が比較的高額になることもあり、非常に重要です。フードロス等々、SDGsとも密接に絡んできます。

あしがら上地区での広域連携

あしがら上地区では現在、①南足柄市、②足柄東部清掃組合(中井町、大井町、松田町)、③足柄西部清掃組合に分かれて処理されています。

それぞれの施設の老朽化が進む中で、県主導の下で、ごみ処理の広域化・集約化による安定的かつ効率的な処理体制の構築が模索されています(※1)。1市5町による広域連携に関する協議の進展状況は分かりませんが、計画では令和5~6年度中に新しい施設の建設工事の入札公告がなされるとなっております。

地球環境問題への対策も十分に講じつつ、中長期的に費用対効果の高い施設であるために民間活力の活用も選択肢となるでしょう。

※1: 足柄上地区ごみ処理広域化に向けた基本方針(概要版)はこちらから

廃棄物処理における官民連携

環境省の資料によれば、ごみ処理施設は、以前は公設公営が主流でしたが、近年は官と民の連携による事業が増加し、近年の新規事業においては、“公設民営”が“公設公営”よりも多くなっています
(環境省「廃棄物処理分野におけるPPP/PFIの推進」はこちらから)

特に、公設民営のひとつである“DBO方式(※1)”が増え、比率も高まっています。
なぜ増えているか? 従来のやり方が“分割発注(※2)+仕様発注(※3)”であったのに対して、“一括発注(※4)+性能発注(※5)”であることから、トータルコストの削減が見込まれることと、民間のノウハウが発揮されることが期待できるためです。

あしがら上地区の広域連携事業がどのような方向に向かっているのか、詳細は存じ上げませんが、中長期的なトータルコストの削減を確実にすることと、民間の活力とノウハウを最大限活用することが必須の要件ではないかと考えます。

ごみ問題≒地球環境問題が重要な社会課題となっている今日、民間企業は日進月歩で最新の技術を競い合い、実績の積み上げを図っているに違いありません。

多額の投資になります、Win-Winの結果を徹底的に模索しなければならないと考えます。

御殿場市・小山町 広域行政組合 ごみ焼却施設
(PFI。サービス購入型。事業費152億円。Value For Money=35.7% → 従来の方式に比べて、総事業費が35.7%削減できた)

※1 DBO方式:資金は官が賄いますが、D(Design・設計)、B(Build・建設)そしてO(Operate・運営)のすべてを民間が請け負う手法。

※2 分割発注: 設計、建設、運営などをばらばらに発注。
※3 仕様発注: 施設の配置、構造、建築材料など詳細な要件を提示して発注。こういう“もの”を作ってくださいという発注。

※4 一括発注: 設計、建設、運営を民間事業者に一括して発注。
※5 性能発注: 施設の性能や業務水準に関する要件のみを提示して発注。こういう“性能・水準”を満たしてくださいという発注。

次回、開成町のごみ処理費用などを確認しつつ、ごみの量や経費を削減するにはどうしたらよいか私案を述べさせていただきます。

https://yamagamiyutaka.com/archives/7598

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先見と行動

山神 ゆたか

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