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月刊「ガバナンス」(ぎょうせい)を購読しています。「DATA・BANK」というコーナーにて、“自治体の最新動向がコンパクトに紹介されています。

先駆的な取り組みから所謂“流行もの”、地域事情などを踏まえた独自の“ならでは”といったものまで中身はいろいろありますが、とても参考になります。

昨年の1月号から今年の1月号に掲載されていた取り組み事例の中で、私が興味を覚えたものを分野ごとに、開成町・足柄地域でも取り組み可能か?との視点でご紹介します。

今回は”シェアリング”の続きと”デマンド型交通・自動運転バス”です。

※記事の内容に独自調査を加えています。“☆”以下は山神の感想です。

<シェアリング> 続き

北海道室蘭市(80,000人、)“燃料電池自動車のカーシェア”

・室蘭市は2015年、“グリーンエネルギータウン構想”を策定。
・2016年、道内で初めて燃料電池自動車(FCV)を公用車として導入、移動式水素ステーション(HST)を設置
・2022年7月と10月、市民へ無料で貸し出し。
・1泊2日まで。水素代は利用者負担。

※室蘭市からのお知らせはこちらから

☆前回ご紹介した大島上島町は電気自動車、和光市はガソリン車でしたが、室蘭市は“燃料電池自動車(水素と酸素を化学反応させて発電)”です。まだまだ馴染みのない燃料電池自動車に乗ってみたいとの関心は高まっているであろうし、ましてやタダとなれば、利用申し込みが多かったことは頷けます。

環境問題に関する啓発活動としても一定の効果はあるでしょう。ただ、最終的には脱炭素、温室効果ガスの排出量削減などでその効果を測れるのでしょうが、短期的な費用対効果をいかにして弾き出すのか興味があります。

茨城県下妻市(43,100人、81㎢)“農機のシェアリング”

・2022年3月、農機のシェアリングを開始。クボタ連携協定を締結。同社としては全国3例目(2022年3月時点)。
・トラクター(21馬力)とアタッチメント(ロータリー、畝立て、マルチャー)をシェアできる。
・利用料金は1時間あたり4,400円。市内在住者には市が半額補助。
・24時間いつでも利用可能。1時間単位。

☆こちらの21馬力のトラクターは1台220万円とのこと。トラクターの法定耐用年数は7年。実際の寿命15年・1200時間(1年あたり80時間)程度とされているようです。

購入して、1年あたり80時間、法定耐用年数の7年間使用したと仮定すると(合計560時間)、1時間あたり約4,000円(220万円÷560時間)。15年間・1200時間使用できるとしたら、1時間あたり2,000円弱になります(220万円÷1,200時間)。

実際には、メンテナンスコストや保管に関わるコスト、税金の負担も勘案しなければなりませんが、市による半額負担は相当大きな支援になることは間違いありません。特に、新規参入者にとっては、初期投資を抑えられることは非常に有難く、魅力的でしょう。新規参入を促進し、担い手を確保することに効果がありそうな取り組みです。

下妻市に先んじて、茨城県つくばみらい市でも同様のシェアリングサービスが提供されていますが、提供される農機は同じくトラクターです。例えば、より高価なコンバインはシェアリングの効果がより大きいと思えるものの、現段階では対象外のようです。興味深いシェアリングにつき、継続してフォローしてみます。

※クボタ社のプレスリリースはこちらから

<デマンド型交通、自動運転バス>

長崎県島原市(44,400人。83㎢)“新しい運行方法”

定時定路線型から、指定の停留所間を自由に乗降できるタクシー型に変更。予約制。
・停留所の数を119か所から251か所に増加。市内全域300m間隔で設置
・運行時間:8時~15時を7時~18時まで拡大。365日運行!

・市内のタクシー会社7社に各1台委託。常時4台が運行。
・料金: 200円~400円。小学生100円、未就学児 無料。
・島原鉄道の路線バス(2021年9月に 全6路線18系統を廃止)の利用者年間704人だったのに対して、開始した2021年10月だけで2,944人が利用
・運行管理システムは(株)アイシンの「チョイソコ」を採用。九州の自治体での採用事例が多い、とされてます。

※「チョイソコ」についてはこちらから
※島原市からのお知らせはこちらから

☆まず、人口4.4万人の市にタクシー会社が7社もあることに驚きました。観光業が主要産業であるためでしょうか? いずれにせよ、365日の無休の運行を可能にしている一因と推測されます。

1年間の路線バス利用者の4倍の人が1か月に利用、1年間に換算すると利用者が28倍!外出する人が増えたのか、外出頻度が高まったのか、自家用車の利用が減り、シフトしたのか・・・?いずれにせよ、市民にとっては利便性が著しく改善したことは間違いないことを数字は示唆しています。

こちらのコミュニティバスの愛称は「たしろ号」。島原市出身の弁護士・田代氏からの寄附を基に運行されているためとのことです。

対象となる面積や潜在的な利用人数によって費用対効果は異なってきますが、定時定路線型の巡回バスよりもデマンド型の方が住民のニーズに応えられることは開成町においても同様だと考えます。

次回に続きます。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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