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過日、東洋大院公民連携専攻の授業にて、環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室の相澤室長に講義をいただきました。言わずもがなですが、地球温暖化問題は世界規模での課題です。我が国も2050年のカーボンゼロの目標に向かって各分野での取り組みが急がれる最中にあります。

同氏は、再エネ、省エネ、脱炭素などの技術開発の実証・普及に向けた取り組みを担当。そして、国際的な条約・交渉から政策の立案まで、直接携わってらっしゃいます。

講義では、カーボンゼロの現在地と今後の見通し、温暖化防止活動における様々なパートナーシップについてお話いただきました。

グリーントランスフォーメーションとは?

以前、デジタル化に関連する用語の整理をさせていただきましたが(2022年1月26日・27日“デジタル化、DX、IT、ICT、AI、RPA、IoT”)、地球温暖化や脱炭素に関連して、あらためていろいろな横文字用語が登場しています。ついていかないと😅

グリーントランスフォーメーション、通称”GX“。”環境破壊や異常気象による自然災害、プラスチック問題や公害といった様々な環境問題を先進技術の力で解決することによって、カーボンニュートラルなどの持続可能な社会の実現を目指す取り組みのこと“です。

具体的な取り組みとしては、
・米アップル社のサプライヤー(世界17か国、71社)は同社向け製品や原材料を再生可能エネルギー100%で製造するようにしたこと

・米マイクロソフト社が植林や土壌炭素隔離、バイオマス発電などに取り組み、無駄な二酸化炭素除去に関するテクノロジーの開発などに、2020年から4年間で10億ドルを投資すること、などが挙げられます。

講義の概要は以下の通りでした。
結論としては、地球温暖化問題は一層深刻化しており、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みが今後一層本格化する、本格化せざるを得ないことがあらためて分かりました。

以下の通り、様々な国際機関から、最新のデータ分析に基づく指摘なされています。

『1. 5℃目標』

・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がこの4月に発表した報告書によれば、“今世紀中に温暖化が1.5℃を超える可能性が高い”

・『1.5℃目標』が未達成の場合は、“2100年の日本の夏は、北海道から九州まで軒並み40℃を超え、東京は43℃、名古屋は44℃台になる。沖縄の気温が一番低くなる”との予想。そして、最大風速は90m/秒にもなり得るとの恐ろしい予想も。

・国連環境計画の関係者は、この4月、“地球温暖化により、生物多様性の破壊が進行中、感染症の発生頻度を高めている”と指摘。

プラスチック汚染

・この2月、国連環境総会にて、“プラスチック汚染を終わらせるために、法的拘束力の国際約束の作成に着手した”、“近い将来、国際条約が結ばれる可能性が高い”とのことです。

脱炭素や循環経済、自然共生などに関して、国内外で様々なパートナーシップが合意されています。ここでは、「30by30」について書かせていただきます。

30by30

・脱炭素や循環経済、自然共生などに関するパートナーシップのひとつ。
・2030年までに、国土(陸と海)の30%以上を自然環境エリアとして保全しようとする目標。生物多様性の損失を止め、健全な生態系を確保するためのもので、昨年6月のサミットで合意。

・具体的には、国立公園などの拡充を図り、社寺林・企業有林・企業緑地・里地里山などを生物多様性保全に貢献する場所として認定する。自治体としても、保護地域の拡張や管理の質の向上などの役割を担うことが求められています。

他に、詳細は割愛させていただきますが、国内において、「循環経済パートナーシップ(J4CE)」、「プラスチック・スマート」、「ECO FIRST」、青年会議所や第二地銀協会などとの協定も紹介されました。

ごみ処理施設に関して質問しました

「ごみ処理施設において、脱炭素のために求められることや、最近の傾向のようなものはあるか?」と質問しました。私としては、廃熱利用やバイオマス利活用に関連する答えを想定していましたが、帰ってきた答えは『とにかく燃すこと自体が反する。最も求められるのは“リサイクル』でした。

「ゼロ・ウェイストタウン」である徳島県上勝町の活動が頭に浮かびました。その方向に向いていくことになるのか? 超高性能の焼却施設が開発されるなど、文明の利器に頼ることになるのか?

リサイクルは人が仕分けする手間がかかります、開成町の水路の小規模水力発電も、仮に発電収入で投資費用を回収するとしたら200年かかります、開成町のZEB庁舎もその機能の分コストがかかっています。

産業革命以降のヒトの営みによって生じた地球温暖化や生物多様性の破壊といった結果を、今生きているヒトとこれから生きるヒトが何とかとどめようとするには、コストか労力か何かを提供しなければならない、と言えるのでしょう。

結論として、我々は、100年後、200年後に生きるヒトに、昔のヒトは何をやっていたんだ?と言われないようにしないといけない、ということだと思います。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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