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岩手県は紫波町を再訪しました。視察研修を受けるためです。

紫波町は県庁所在地・盛岡市の南、宮沢賢治の生誕地であり、大谷翔平選手の母校・花巻東高校がある花巻市の北に位置します。

いきなり話題が逸れます。WBCでの大谷翔平選手の大活躍はご存知の通りですが、先般開催された春の選抜高校野球大会で報徳学園が決勝に進出しました!

“西の報徳学園、東の花巻東”と言えば、教育理念に「報徳思想」を掲げている代表校です。大谷選手の“人生設計ノート”が世界的に注目を浴びていますが、郷土の偉人・二宮尊徳翁の教えと功績が見つめ直されるべき絶好のタイミングに思えてなりません。
※花巻東高校ホームページ“教育理念”“報徳思想”はこちらから

さて、本題に戻りまして、オガール・プロジェクトの視察研修の件、以下の通りです。

オガール・プロジェクトとは?

オガール・プロジェクトは請願駅・JR紫波中央駅前の町有地10.7haの都市整備事業です。公民連携事業の成功事例とされ、今日においても、全国からの視察者が後を絶ちません。

なぜ再訪

一昨年、一般旅行客として訪問、オガールエリア内をくまなく見て回りました。図書館では、とても親切な司書の方に(無料で)即席の質疑応答の時間もいただくなど、多くの学びと刺激を受けました。

※当時の視察記は3回に分けて投稿させていただきました。


今回は、自らが描く”開成町における図書館を核とする複合施設構想”を念頭に置きながら、オガール・プロジェクトの真髄に迫りたく、(株)オガールが提供するオフィシャルな視察研修プログラムを受けることにしました。
※視察研修プログラムの詳細はこちらから

具体的には、公民連携手法のより詳細な中身や、町民との意見交換のプロセス、私が通った東洋大学大学院公民連携専攻(公民連携推進の協定締結)の果たした役割、成功事例とされる裏での実際の苦労話等々、できる限り伺い、今後に活かすことを目的としました。

標準コース(135分)と図書館コース(120分)を受講しました。オガール側にしてみれば、所謂“視察ビジネス”です。私のようにお金を払ってでも話を聞きたい人がまだまだたくさんいるわけです。

宿泊施設「オガールイン」に宿泊し、飲食や買い物など相応の支出をします。投資の回収形態のひとつです。視察ビジネスが成り立つことが即ち成功事例の証とも言えましょう。

因みに、標準コースは愛知県の自治体職員の方とふたりでしたが、午前中は某自治体の団体をはじめ30名が受講されたとのこと。図書館コースは私ひとりで、ご案内いただいた方々を独り占めしてしまい、とてもお得でした。

オガールの教え

まず、標準コースですが、公民連携のエージェント役であるオガール紫波(株)の前代表である八重嶋氏にご説明&ご案内いただきました。

有料の視察、オガール側にとってはビジネスです。よって、私から皆様へすべてはお伝えできませんし、資料や画像も一般に公開されているもの以外は開示できません。実際に立ち上げから運営まで携わった方のお話、当然ですが重みと説得力があります。600㎞の遠路、来た甲斐がありました!

八重嶋氏より、『オガール・プロジェクトのハード整備は完了、管理の時代に入った。これから真価が問われる』との説明がありました。

ハード整備ですが、街区・施設ごとに順次進められ、その手法も実は様々でした。主だった事業を時系列でまとめると以下の通りとなります。

・2009年2月 公民連携基本計画 策定

・2009年6月 オガール紫波(株) 設立

オガール紫波(株)は、“官と民が連携するためのエージェント役”であり、“パブリックマインドをもった民間企業“です。

官は議会の承認も必要、進捗が遅く、時間がかかる。また、平等性や公平性を重んじなければならない。一方、民は民で投資を回収する必要があり、事業の透明性も求められる。このような立場・利害が相反する関係性の下で、官のエージェントとして連携事業の推進を図る役回り、と言えるでしょう。

大阪府大東市で公民連携エージェントとして活躍中で、「公民連携エージェント」(学芸出版社)の著者である入江智子氏は、市職員時代に9か月間、(株)オガールの岡崎代表の下で“エージェント業”の研修を積まれました。

今後、公民連携事業の需要増加に伴い、エージェントを生業とする方が増え、コンサルティング会社の業務としての重要性も増してくるのではないでしょうか。

2011年4月 岩手県フットボールセンター 開場

誘致競争に最後に名乗りを上げたにもかかわらず、グランドの下に水槽を造り、水はけをよくするアイディアと総事業費1億8,000万円に対する6,000万円拠出で落札。オガールプロジェクトが真の意味で動き出した瞬間でした。

賃料は300万円/年。20年で元が取れるとの算段です。

※お伝えしている内容には研修から得たものに加え、「町の未来をこの手でつくる」(猪谷千香氏、幻冬舎)からの情報を含みます。

2012年6月 官民複合施設 オガールプラザ オープン

産直施設“紫波マルシェ”や図書館、子育て応援センター(一時預かり保育、学童保育など)音楽スタジオ2室、学習塾、眼科、歯科などが入る施設です。

今日、事業が成功している秘訣のひとつが、手順として“逆算方式”を徹底したことだとされます。建ててからテナントを募集する従来方式ではなく、①家賃相場を踏まえ、市場を調査し、テナントを募集、②必要な床面積を設定、③想定利回りを実現できる工事価格を設定して設計&工事することで、すべての施設において竣工時に入居率100%で事業を開始できた、とのことです。また、その入居率100%が融資を得易くなった一因との説明でした。

実際に、当初は鉄筋コンクリート3階建ての計画だったものが、木造2階建てに変更され、随所にコストカットの跡が見られます。10年以上前に、折角だから立派なもの、大きなものという発想はまったくなかったということになります。先見の明、さすがです。

次回、なぜ逆算方式?などをお伝えし、公民連携の勘所をまとめたいと思います。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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